日経平均が初めて5万円の大台に。急ピッチな上昇に高値警戒感がつきまとう一方、海外勢からの資金流入が加速するとの思惑も
今年、日本株を押し上げてきた要因のひとつは、海外投資家からのマネー流入だ。10月第2週までに海外勢は2.9兆円を買い越している。米関税政策などの先行きが不透明となった中で、米株に集中していたグローバル資金を分散する流れの一環として機械的な買いが入ってきたとみられている。
こうした状況が、日経平均の平均上昇率が米株に接近することで変わるかもしれないという。投資先としての日本株への目線が引き上がるなら、より積極的な資金流入へと、局面が切り替わる可能性があると坪井氏はみている。
大型イベント相次ぐ、ボラティリティ高まりも
27日の株高は、海外短期筋とみられる断続的な先物買いが支援した。米中摩擦の懸念緩和に伴うショートカバーが観測されたほか、国内政治への期待の高さもあったとみられる。UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、海外投資家は「高市内閣の支持率の高さに関心を持っているようだ」と話す。
高市政権発足後、最初の週末に実施された国内各メディアの世論調査では、軒並み高水準の支持率が示された。朝日新聞の調査で内閣支持率は68%。発足直後の支持率としては2001年の小泉純一郎内閣以降、3番目の高さで、世論の期待の高さがうかがえる。支持率が高ければ、政治安定と政策実現の可能性の高さが意識されやすいと三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジスト氏は指摘する。
トランプ米大統領との首脳会談に先立つ電話会談は、高市首相の説明などから、良好な関係が深まったとの見方が広がり、買い安心感につながったとの指摘もある。日米に続いて見込まれる日中の首脳会談も含めて、無難にこなせば「高市首相の名前がグローバルで知られるようになり、日本株への関心も高まるのではないか」とUBS STWMの小林氏はみている。
もっとも、海外勢が日本株の買いポジションのみで構成するロングオンリーに転換するかは見通しにくい。「現実に政権が安定し、長期的な成長戦略が具体的に動き出し、構造変化への期待が本格化する必要があるだろう」とUBS STWMの小林氏はみている。
前週末発表の米9月消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、米利下げ期待が維持されている。目先の最大のリスク要因は、こうした好環境が崩れることだ。「米国のインフレ再加速や景気減速は引き続き警戒する必要がある。国内インフレが強まるようなら政権支持率に影響が及ぶリスクもある」(三井住友トラストAMの上野氏)との見方が聞かれる。
今週は日米中銀の政策決定会合など大型イベントが相次ぎ、株高を牽引してきた大手ハイテク企業の決算なども予定される。過度な懸念は後退したものの、米中首脳会談への警戒感も根強い。
足元の急ピッチな株高はいいとこ取りの側面もあるとして、短期的に「イベントの結果に応じてボラティリティが高まることへの目配りは必要になる」と野村証券の澤田麻希投資情報部ストラテジストは話している。
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