「影のアメリカ大統領」とも呼ばれるピーター・ティールが示す《ビットコインの本当の敵》の正体

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「ビットコイン2022」に登壇したピーター・ティール(写真:ブルームバーグ)
“全米で最も暗号通貨に優しい都市”マイアミで開かれたカンファレンス「ビットコイン2022」は、2万6000人もの聴衆を集めていました。そこに登壇したアメリカの起業家、投資家にして、PayPalやOpenAIの共同創業者でもあるピーター・ティール。今ではトランプ大統領の強力な支持者としても知られる彼は、カンファレンスでビットコインのすばらしさを熱弁しますが、その裏ではある企みが進行していて——?
謎のビットコイン発明者の正体を追うアメリカのジャーナリスト、ベンジャミン・ウォレスの著書『サトシ・ナカモトはだれだ?』(小林啓倫訳)より、一部抜粋のうえ紹介します。

20年後のビットコイン

昼食後、ペイパル創業者からベンチャーキャピタリストへと転身したピーター・ティールの登壇が予定されていた。ビットコインにはリーダーがいないとよく言われるが、実際にはサトシ・ナカモトの存在が、彼はいないはずなのにあちこちに感じられた。

基調講演や重要なパネルディスカッションが行われる「ナカモト・ステージ」の両脇には、彼の文章から抜粋した一節が次々と表示されるモニターが設置されていた。外部の人間には陳腐に見えるが、内部の人間にとっては奥深く感じられるという、まるでダイアネティックス〔米国の哲学者ラファイエット・ロナルド・ハバードが提唱した疑似科学的な心理療法。多くの批判を受けているが、サイエントロジー教会などが支持している〕のような雰囲気があった。

「盗まれると鉛に変わってしまう金(ゴールド)があったとしたらどうでしょうか」

「これを一般の人々向けに説明する文章を書くのは本当に大変です。何にもたとえるものがないんです」

「20年後には、ビットコインの取引量がものすごいことになっているか……まったく取引されなくなっているか、どちらかでしょう」

「ネットワークは、非構造的なシンプルさゆえに堅牢(けんろう)なのです」

次ページビットコイン VS. イーサリアム
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事