また香港では、香港大学が33位、香港中文大学が41位だ。これらに続いて、100位までにさらに3校がある(100位以内に計5校)。シンガポールは、シンガポール国立大学(17位)と南洋理工大学(31位)が100位内に登場する。人口当たりで見れば、香港とシンガポールの大学の充実ぶりは驚くほかはない。
結局、以上の5カ国・地域だけで、上位100校のうち半数を超える60校があることになる。
これに対して、日本で100位内に入る大学は東京大学と京都大学の2校のみ。東大は前年の28位から順位を上げたものの、26位にとどまっている。日本は大学レベルの教育において世界の水準に明らかに後れを取っている。
なお、この調査はトランプ政権による研究費締め付けの影響がまだ表われていない時点で行われた。その影響がこのランキングにどのような影響を与えるのか、まだ不確定なところが多い。
日本の大学が上位に入った「もう1つのランキング」
THEの評価には、以上で紹介した「総合評価」以外に、「プレステージによるランクづけ」というものがある。研究・教育活動においては「評判」も重要な役割を果たしているとの認識によるものだ。この結果は、「総合評価」とは明らかに異なる傾向を示している。
2026年版にはこの評価は含まれていないので、2025年版を見ると、アメリカの大学の1位と2位は、「総合評価」ではマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学であるが、「プレステージによるランクづけ」ではハーバード、MITとなり、順位が逆転する。
日本の大学の「プレステージによるランクづけ」は、東大が世界10位、京大が同24位、東北大学が同87位となっている。この順位は「総合評価」での順位に比べて明らかに高い。
「プレステージによるランクづけ」では、どちらかというと、歴史のある伝統的な大学の評価が高くなっているように思われる。プレステージをどのように測定するかは「教育・研究に関して専門家の投票によって決めた」と説明されているのだが、詳細な内容は明らかでない。また、「総合評価」のスコアリングとズレる理由も説明されていない。
以下は筆者の想像だが、日本人が日本の大学を評価する場合、THEの「プレステージによるランクづけ」と似た評価が行われているのではないだろうか。そして、この評価では単に「歴史がある」というだけでなく、「入学試験が難しく、簡単には入学できない」ということが重要な影響を与えていると思われる。


















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