「東ドイツの超特急」よみがえらせたファンの執念 朽ちた車両を動く状態に、目標は「国際列車運行」

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VT18.16 DR
美しく修復された旧東ドイツ国鉄の特急用気動車VT18.16型(撮影:橋爪智之)

2025年10月2日、ドイツ東部の町ハルバーシュタット。車両工場内の引き込み線に、4両編成のピカピカの車両がエンジンをかけて停車していた。

美しい流線形に、赤とクリームのツートンカラーをまとった車体には、旧東ドイツ国鉄を示す「DR(Deutsche Reichsbahn)」のロゴが。やがて盛大に汽笛を鳴らすと、車両は構内をゆっくりと走り始めた。

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東ドイツが生んだ「夢の超特急」

この車両は、旧東ドイツ国鉄のVT18.16型(1970年7月1日の形式称号改定で175型へ変更)と称する特急用気動車で、当時の東ドイツと周辺諸国の都市との間を結ぶ目的で開発された。1990年代には定期運用から外れ、ほとんどの編成が廃車となって姿を消し、2003年に最後に残った1編成がお別れ運転を行った後、長らく放置された状態となっていた。

【写真】鉄道ファンの熱意でよみがえった東ドイツの「ボンネット型超特急」。現役時代のようにピカピカになった外観や重厚な車内、特徴的な台車とエンジン、運転席の内部、そして復活当日の試運転の様子まで貴重な姿

この日は、愛好者団体が引き取って長年にわたる修復作業を終えた最後の1編成が、初めてオリジナルの4両編成を組んだ状態での試運転だった。

たった数百メートルを往復しただけとはいえ、それはまさに歴史的な瞬間で、現場に居合わせた関係者や技術者は、感慨深い面持ちで動き出した車両を見守った。ここに至るまでには、関係者の多くの苦労があったのだ。

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