「東ドイツの超特急」よみがえらせたファンの執念 朽ちた車両を動く状態に、目標は「国際列車運行」

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寄付金が集まったことを受け、2021年秋から本格的な修復作業が始まった。かつて東ドイツの車両製造工場として名を馳せたハルバーシュタット工場は、現在はVIS(Verkehrs Industrie Systeme)社として主に国内外の車両更新や修理、日常的なメンテナンスを業務としており、同社が修復を引き受けることになった。

しかし、車体は同社で修理可能だったものの、動力に関しては専門知識が必要ということで、エンジンはドイツ東部ピルナにあるITL GmbH社へ、台車は北東部ノイシュトレーリッツのOMB社へそれぞれ送られて修復。2024年12月には修復を終えたエンジンが始動し、運転再開へ向けた準備は大きな進展を迎えた。

VT18.16 修復作業
雨水が侵入しやすい窓周辺は重点的に修復された(撮影:橋爪智之)
VT18.16 修復作業 中間車
塗装が終わって内外装の組み付けが進められている中間車(撮影:橋爪智之)

復活運行まではあと一歩

ここまで計画は順調に進み、SVTゲルリッツは当初、2025年9月に初の復活運行を行う計画を立てていた。

しかし、ヨーロッパでは大手メーカーですら新車投入時に毎度苦汁を舐める運行認可取得で引っ掛かってしまい、残念ながら2026年夏頃まで運行開始はお預けになってしまった。そんな中、今回の編成を組んだ状態での試運転は、長年同車の復活を夢見てきた愛好家たちにとっては大きな一歩となった。

SVTゲルリッツ VIS VT18.16 修復
修復に関わったSVTゲルリッツとVISのメンバーたち(撮影:橋爪智之)
【写真をもっと見る】よみがえった東ドイツの「ボンネット型超特急」。登場時の姿に復元された車体や内装、復活当日の試運転の様子など

最終目標である認可取得が実現したとき、復活を待ちわびていた多くの人たちの夢が実現することになる。復活後の最初の運行区間は、この列車の現役時代の花形運用であったヴィンドボナ号をなぞる形で、ベルリン―プラハ間になるだろうという。今回はSVTゲルリッツやVIS社、KATOの協力で修復を終えた復活の瞬間を取材することができたが、愛好家たちの執念が実る「復活運行」を見届けられる日も近そうだ。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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