「店長年収最大2000万円制度」で話題のトリドール、執念込めた『丸亀製麺』のスピリット体感施設オープンで香川県民との"雪解け"が進行中?

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トリドールは丸亀市に納税を行い、特に「心の本店」がある広島では、船着場をふるさと納税で作ったりもしている(ちなみに島内には創業者である粟田氏の個人寄付でできたトイレもある)。広島は、もともと過疎が著しい離島でインフラもままならなかったが、トリドールの寄付によって島はかなり快適になった。

移住者も増え、なんと15〜6年ぶりに小中学校が再開したのである。トリドールはこの寄付により、ふるさと版企業納税における令和6年度大臣表彰も受賞している。

江の浦港船客待合所 トリドール
江の浦港船客待合所。トリドールのふるさと納税によって一新された(筆者撮影)

また、これは企業戦略ではなかったが、トリドール社員の一人が進んで讃岐広島に移住し、地元の人たちとの交流を何年も続けた。私もその方とお話させていただいたが、企業の方、というよりも「島の方」というほうがふさわしいようにも思えた。

このように、「企業版ふるさと納税」と「社員の移住」という両面による地道な浸透作戦により、とうとう2024年に「心の本店」オープンにこぎつけたわけである。

ついに、香川に馴染み始めた丸亀製麺

こうした地域への溶け込みは、徐々に香川の中での丸亀製麺の認識も変えつつある。例えば、丸亀製麺と香川のうどん店がタッグを組んでイベントを行うことなども増えている。現在開催中の「SANU-1」グランプリは、讃岐うどんの日本一の手打ち職人を決める大会で、丸亀製麺が主催し、日本うどん協会が全面協力している。

この日本うどん協会で理事長を務めているのが、丸亀市にあるうどん店「よしや」の山下義高さんである。実は、筆者は「よしや」の近くに住んでおり、よく行くうどん店の一つだが、こうした地元店とのコラボも盛んになってきている。

よしやのうどん
よしやのうどん。おいしい(筆者撮影)

「企業による地方創生」というのも、昨今ではブームのように持て囃されることが増えた。しかし、それが本当の意味で地域に馴染んでいるのか、地方創生につながっているのか、ともすれば地方を消費しているだけではないのか、などさまざまな問題がある。とかく理念的・抽象的になりすぎで、蓋を開ければ何も「地方」のことなど考えられていない……なんてことも日常茶飯事だろう。

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