中国の「AI半導体」開発企業ムーアスレッド、異例の早さで上場審査通過。上海の「科創板」で株式公開へ

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ムーアスレッドは多額の先行投資を研究開発につぎ込むフェーズにあり、事業の黒字化は当面見込めそうにない。目論見書によれば、2024年の売上高が4億3200万元(約90億円)だったのに対し、一時損益の影響を除いた調整後純損益は15億700万元(約315億円)の赤字、営業キャッシュフローは14億3500万元(約300億円)のマイナスだった。

ムーアスレッドは多数のAI半導体を束ねる技術によりコンピューティング能力を高めている。写真は同社製のAIクラスター「KUAE」(ムーアスレッドのウェブサイトの動画より)

さらに、同社にとって大きなリスク要因と言えるのが(チップの安定生産を確保するための)サプライチェーンだ。AI半導体をめぐるアメリカ政府の対中制裁強化により、ムーアスレッドは台湾積体電路製造(TSMC)に代表される海外の半導体受託製造企業との取引を制限されたほか、HBM(広帯域メモリー)などの基幹部品の調達にも支障が生じている。

AIクラスター製品化で先行

TSMCなどの海外企業が持つ最先端のプロセス技術を利用できない状況下で、チップ単体でエヌビディアに比肩する性能のAI半導体を中国企業が開発するのは困難だ。そんななか、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は数百~数万基のAI半導体を束ねた大規模AIクラスターの開発を進め、中国のAIコンピューティングのニーズに応えようとしている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

実はムーアスレッドは、中国のAI半導体スタートアップの中でもAIクラスターをいち早く製品化した1社だ。1000基単位のAI半導体を束ねたAIクラスター「KUAE」を2023年12月にリリースし、1年後には1万基単位のクラスター構成に対応する強化版を追加した。

同社によれば、これらの製品はすでに(中国国内の)複数のデータセンターに納入され、AI基盤モデルの訓練や推論、複雑な科学技術計算などに活用されているという。

(財新記者:劉沛林)
中国語原文の配信は9月26日

※本記事は原文を要約し、日本の読者向けに適宜補足したものです。
財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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