森保一氏と栗山英樹氏が「いい人」なのに勝てる理由 岡田 武史 ×工藤 勇一が語る新しい時代のリーダー像
岡田:栗山さんはものすごくいい人だから、この言葉を見て、心を鬼にしてからグラウンドへ出ていた。僕なんかはそんなものを見なくても、いつでも鬼になれてしまうのですが(笑)。でも今、実際にそういうキャプテンシップを持ったリーダーが出てきているのは事実です。
それはなぜかと言えば、やはり今の若い人の価値観、考え方が変わってきたからですよね。表面的で、物質的な豊かさよりも文化的、精神的な充実、そして価値観の多様性を求めている。その辺りの感受性、価値観が新たなリーダー像につながっているのだと思います。
リーダーの中身は、キャプテンシップの有無で決まる
岡田:これからの時代、「志」の高いリーダーが不可欠です。私利私欲ではない、志を高く持ち、まだ見ぬ世界へ向かっていくリーダー。その過程では、昔ながらのぐいぐい先頭に立ち人々を引っ張る、昔ながらのリーダーシップが必要な場面もあるでしょう。
しかし、経験を重ねる中でリーダー自身も学び、共に歩む仲間の主体性を引き出すことのできるキャプテンシップを持ったリーダーに変わっていく。そういったリーダーの働きかけによって、みんながバラバラの方向を見ていたチームや組織が志ある目標を持つようになり、「その目標を実現するために何ができるのか」ということをそれぞれが考え始める。
そんなチーム、組織だからこそ、周囲の人々もフォロワーとなって応援し、支え、共感し、主体性を持ち、当事者意識を発揮してくれるのではないでしょうか。
工藤:まったく同感です。大切なのはリーダーという肩書きではなく、志や目標がある人間であること。その目標も、利己的ではない信念に基づいたもの。
自分のためや私利私欲のためではなく、「人のために何かをしたい」「チームや社会のために、より良い変化をもたらしたい」という目標を抱いた人間こそ、リーダーにふさわしい人なのだと思います。
岡田:よくわかります。僕も講演や取材で伝えていることですが、よく言われるように「リーダーがいないことが問題ではなく、リーダーを欲する国民がいることが問題」だと思うのです。
大事なのは、一人ひとりが主体性を持つこと。「誰かがリーダーをやってくれ」「次の世代を引っ張るリーダーが出てきてくれ」という声が上がること自体が問題だと、僕は思っているのです。
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