ポテトの王者カルビー、鷹揚な社風を改革し収益力激変、成長への新たな種まきも
もちろん、さらなる成長のための課題はまだまだある。その一つが、売上高の約6割を、ジャガイモを原料とするポテト系スナックが占める、ポテト依存度の高さだ。
74年からジャガイモの調達体制を整備。北海道を中心に約2000の農家と契約。技術指導員の派遣や優良生産者へのインセンティブ支払いなど、生産者との関係を強化してきた。それでも、日本で収穫されるジャガイモの約1割を使用するカルビーにとって、ジャガイモの安定調達リスクは無視できない。生のジャガイモには輸入規制があり、海外からの調達も難しい。
ポテト系を伸ばしつつ、その依存度を引き下げるには、非ポテト系スナックの強化が必要だ。目下、注力するのは野菜を原料とする「ベジップス」。一部地域での限定販売だが、今秋の全国発売に向け25億円を投じてラインを増設。ポテトチップスを敬遠する健康志向の女性向けにヒット商品化をもくろむ。
新たなヒットの育成に直営店の全国展開
二つ目の課題が、ヒット商品開発力のアップ。「これまでは10年に一度メガヒットを生み出してきたが、もっと頻度を上げないといけない」(松本会長)。
ここでの取り組みは、直営のアンテナショップ「カルビープラス」の出店。定番商品はもちろん、新商品や限定商品をずらりとそろえ、さらに店内で調理した揚げたてスナック菓子の販売も行う。新千歳空港や原宿、東京駅などに続き、今後も全国に十数店舗を出店する。消費者とじかに接することで、ブランド力向上や新商品開発、販促戦略策定に生かし、ヒット商品につなげる。