EVとPHVのランニングコストの安さは、(エンジン車に比べた)走行距離の増加にもつながっている。情報サービス会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)の調査によれば、中国におけるEVの年間平均走行距離はエンジン車を66%上回るという。
つまり、EVとPHVのオーナーはガソリン車のオーナーよりも道路を多く使用しているが、道路の維持管理コストの負担は極端に小さいということにほかならない。

中国交通運輸省傘下の研究機関の推計によれば、中国全土の道路の維持管理費用は年間約6000億元(約12兆4328億万円)。それに対して約3000億元(約6兆2164億円)もの財源不足が生じているという。
優遇措置の段階的終了を
「現在の(燃油付加費を中心とする)道路財源の仕組みはもはや持続不可能だ。車両の重量、エネルギー消費量、年間走行距離などを総合的に考慮した新たな基準を検討し、(EV・PHVとエンジン車の負担格差をなくす)より公平で合理的な制度を設計しなければならない」。前出の王研究員はそう指摘する。

道路の維持管理コスト以外にも、EVとPHVはさまざまな政策的優遇を受けている。例えば車両購置税(自動車取得税に相当)は2025年末まで免除され、それ以降も2027年までエンジン車の半分の5%で済むことになっている。
さらに、旧型車の買い替えを奨励する政府の補助金の支給金額や、個人向け自動車ローンの利子補給などでも、EV・PHVのほうがエンジン車より優遇されている。
「これらの措置をいっぺんに終了すると、自動車市場への(負の)影響が大きすぎる。所管部門はEV・PHVとエンジン車の不公平の段階的な是正を検討すべきだ」。王研究員はそう提言した。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月14日
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