日本では少数派「連接車」欧州鉄道でなぜ大活躍? 「揺れが少ない」などメリットあるがトラブルも

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身近なところでは、日本でも有名なフランスの高速列車TGVは連接車であるし、ローカル線向けの近郊型車両も、欧州全体を見回すとかなりの数の連接車が運用されており、ほとんどの欧州系鉄道メーカーは製品ラインナップに連接車がある。

例えば、フランス・アルストム製の「コラディア・ストリーム」や、欧州各国の鉄道で近郊用として導入されているスイス・シュタドラーの「Flirt」、旧ボンバルディアの「タレント」などはその例だ。筆者の記事で何度も紹介している日立レールの新型トライブリッド車両「マサッチョ」や、中国の車両メーカー、中国中車(CRRC)が欧州進出に向けて開発した電車「シリウス」も連接車だ。

Alstom Coradia Stream
アルストム製の連接車「コラディア・ストリーム」。この車両はオランダ鉄道向けだ(撮影:橋爪智之)
Bombaldier Talent
オーストリア鉄道で活躍する旧ボンバルディア製の「タレント」。これも欧州各地で見かける車両だ(撮影:橋爪智之)
【写真】フランスのZ50000型電車は短い車体を連ねた連接車。通勤電車だが1車体にドアは1カ所だ

連接車のメリットが生かせる欧州鉄道

連接車をボギー車と比較した場合の長所としては、高速走行時の蛇行動が抑制され、乗り心地がスムーズという点が挙げられる。脱線事故が発生した場合も、車体と車体の間が台車で強固に連結されているため、横転したり線路外へ大きく逸脱したりするリスクが減るとされる。また、同じ車体数であればボギー車と比較して台車の数が少なくて済むため、メンテナンスが必要な部品の点数が減り、編成全体で見ると軽量化につながる。

Trenitalia Minuetto
両側の車体を1台車で支えるのが連接車の特徴だ(撮影:橋爪智之)

逆に短所としては、編成の組み換えが工場内でしかできない点がある。このため、運行中に増結や切り離しが必要な、需要の変動が大きい路線では使いにくい。1両ずつ切り離すことが難しいため、故障の際も不具合がある車両だけ切り離すことはできず、編成丸ごと工場へ送り込まなければならない。

長所として挙げた、編成全体で台車の数が減ることで軽量化になるという点も、裏を返すと車軸1軸当たりの重量、すなわち軸重の増加にもつながる。軸重が重いと、軟弱地盤や鉄橋などで重量制限がある路線などでは採用しづらい。

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