日本では少数派「連接車」欧州鉄道でなぜ大活躍? 「揺れが少ない」などメリットあるがトラブルも
ただ、連接車の導入に際して、問題がまったくないというわけではない。車体と台車の位置関係がボギー車と違うため、カーブなどで車体がはみ出す量が異なり、場合によっては線路際の施設に接触するなどの問題を引き起こしてしまうのだ。
フランスでは、国鉄が近郊用車両として新型の連接車を発注する際に、メーカーへ提出した車両限界(トンネルやホームなどに接触しないための車体断面の限界範囲)の数値が誤っていた(30年以上前に変更された旧来の狭い車両限界のままの駅が多数残っていた)ことが製造後に発覚した。
このため、標準的なボギー車しか入線実績のない路線の多くで新型連接車がホームに接触する恐れがあることが判明。その数は約1300カ所にも及んだ。だが、すでに製造されてしまったものを造り直すことは不可能で、結局は地上側の構造物を削ることになってしまった。

ドイツの新型連接客車はどうなる?
また、「連接車は蛇行動が起きにくい」のは、理論上はそのはずであっても、実際にはとくに先頭と最後尾付近で、走行中に不快な揺れを感じることを複数のメーカーの車両で実際に確認している。

とくにカーブへの進入時やカーブから直線へ戻る際に、カクンという揺れを感じたことが何度かあり、中国CRRC製の連接車「シリウス」では、車体全体に響くようなガツンという激しい揺れが生じていた。ダンパーなどの調整次第で解消できるものと思われるが、印象としては通常のボギー車と比較すると線路からの入力に対してシビアな動きが多く、安定した運転をするためには、より多くの調整が必要だと感じる。
ただ、メリットも大きいだけに欧州ではさらに新型連接車の導入が進んでおり、ドイツではスペインのタルゴ社が開発した連接式客車「ICE-L」がデビュー目前だ。この車両は試運転ではトラブルを抱え、なかなか認証試験をパスできなかったが、問題なく営業運転を開始できるか注目したいところだ。

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