条件反射的な円売り「高市トレード」の今後。過度な円安を修正する動きにもつながった小泉候補の存在感、トレード巻き戻しの兆候をかぎ取る声も
通貨オプション市場でも、高市トレードを修正するような動きが観測されている。ドルの対円取引で「コール(買う権利)」から「プット(売る権利)」の需要を差し引いたリスク・リバーサル(RR)では、弱まっていたドル安/円高への警戒が一転、強まったことが示されている。
自民党総裁選までを含む1カ月物25デルタのRRはきょう17日までの時点でマイナス0.9%と、15日までのマイナス0.7%近辺からマイナス幅を拡大した。通貨オプションは先行きの変動に備えることなどを目的に行われる取引で、マイナス幅が拡大するほどドル・コールへの需要対比で、プットへの需要が増加していることを示している。
9月に入ってから縮小傾向だったRRのマイナス幅が再び拡大に転じ始めたとして「財政規律が維持されるとの見方が円高材料の一つになった可能性がある」と、あおぞら銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの諸我晃氏は話す。
高市トレード逆回転に警戒感
為替市場の「高市リスク」に対する条件反射的な円売り反応が広がった要因のひとつには、今回の総裁選に向けた同氏からの政策発信が限られていたこともありそうだ。これまでの円安反応は、思惑主導とみる市場関係者は少なくない。
みずほ証券の山本氏は、債券市場の「高市リスク」への反応が限定的なのに対し、ドル/円市場の反応が敏感な点に着目する。為替市場は財政悪化懸念より為替政策面で今後、円安志向を示すリスクが否定されていない点を重視しているためという。
週内にも見込まれる出馬表明の場で、消費税や給付金に対する姿勢だけが示され、日銀の金融政策や為替政策に関して特段の言及がない場合、「円高圧力となる余地もある」と山本氏は指摘、145円までのドル下落もあり得ると話している。
(青山敦子 編集:平田紀之、石田仁志)
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