「バンジージャンプを怖がる友人」「高級時計の購入を迷う顧客」にかけるベストなひと言とは? 驚くほど人が動く"ボトルネック"を意識した伝え方

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高級時計のロレックスを売るときに、迷っているお客さんにかける最後のひと言はなんでしょうか?

・“100年の歴史と伝統がある”
・“持っているとステータスになる”

それよりも効果的なのは、

“価値が下がらないから、買った金額より高く売れることもある”

という言葉です。高い買い物なので、一番の「ボトルネック」は値段であり、後悔したくないという心理です。そのボトルネックの詰まりを解消する言葉になっています。

ピンクリボン活動の一環で、乳がん検診を促すコピーの公募があります。その中で、多くの人の行動を変えた作品がこちらです。

“乳がん検診で一番多く見つかるものは、安心です。”(ピンクリボンフェスティバル)

検診に行かない理由。つまり「ボトルネック」はなんでしょうか?

時間がない、面倒くさい、痛そう、などいろいろありますが、その1つに「もしがんが発見されたらと思うと怖い」というものがあります。このコピーは、そのボトルネックを理解した見事な伝え方です。

ボトルネックを探すには、相手の心理を深く知る必要があります。伝える相手の立場になって、どのような気持ちの流れか、ストーリーにして想像してみましょう。

「押してダメなら引いてみる」ことも大事

伝わるコツ 「言ったはずなのに伝わってない」をなくすスキルと思考法
『伝わるコツ 「言ったはずなのに伝わってない」をなくすスキルと思考法』(すばる舎)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

バンジージャンプを飛びたい→でも、いざ飛ぶ瞬間になったら思っていたより怖い→不安がどんどん募っていく→動画サイトなどで見た事故を思い出す→もしロープが切れたら……など不安が拡大して飛べない←これがボトルネック

「事故は起こらない」と告げることで解消できますが、「君なら飛べる! 勇気を出して!」ではボトルネックの詰まりが取れないことがわかります。

ここでは「ボトルネック理論」に則った、サイドブレーキを解除する伝え方を説明しましたが、決してプッシュ型がダメ、ということではありません。

古くから「押してダメなら引いてみな」という言葉がありますが、幅広い技とアプローチを習得することが大切です。

山本 渉 クリエイティブディレクター/コピーライター/作家

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やまもと・わたる / Wataru Yamamoto

国内最大手の広告マーケティング会社勤務、クリエイティブディレクター/コピーライター/作家。高校を中退して引きこもりを2年以上経験。コミュニケーションに対する苦手意識を持ったまま、広告会社のコピーライター職に就く。数え切れないほどの失敗と挫折を経験しながら、「伝える」と「伝わる」の違いと、その先の「動かす」手法を習得していく。その結果、「伝わる」コミュニケーションで成果を出し、数々の担当商品の大ヒットに貢献。世界で最も権威のある広告賞カンヌライオンズでグランプリの他、東京コピーライターズクラブ新人賞、ACC賞ベストCMプランナー賞など多くの賞を受賞。この「伝わる」手法をまとめたものを、大学や業界の研修、コピーライター養成講座等で講義し、好評を博す。2023年に上梓した初の著書『任せるコツ』(すばる舎)が2024年のビジネス書年間ベストセラーにランクイン。

 

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