店舗数がじわじわ減少、オーケーやロピアに劣勢のなか…ほっかほっか亭が始めた「"おかずを選べる"カスタマイズ弁当」は何が凄い?狙いは?

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逆にほっかほっか亭としては、多様なターゲットに向けた弁当をいちいち作らずとも、消費者側が自分にあった使い方を勝手にしてくれるから、一石二鳥なのである。

伸び悩む「弁当屋」業界

ほっかほっか亭がカスタマイズ弁当を仕掛ける背景には、弁当屋業界の事情が関係している。弁当屋業界は、伸び悩んでいるのだ。

ほっかほっか亭を運営するハークスレイの決算資料によれば、同社の中食事業の2025年3月期・営業利益はマイナス7200万円(売上高は173億円)。2024年3月期の営業利益は2億5900万円であり、低収益の現状がある。

ハークスレイ
ハークスレイの事業の中でも、「中食事業」だけがマイナスになっている(ハークスレイ2025年3月期決算補足説明資料より)

ほっかほっか亭以外も同様だ。

「オリジン弁当」を運営するオリジン東秀は、コロナ禍からの回復で2022年2月期こそ営業利益が上がったが、それ以後は利益が減少傾向にある。

業界首位である「ほっともっと」(運営元はプレナス)は、2022年2月期に2488店舗あった店舗が現在は2444店舗に減少。売上高では増加基調なものの、必ずしも好調である、とまでは言い切れない状況だ。

オリジン東秀
一時期は3000店舗を目指していた業界首位の「ほっともっと」でも、店舗数は減少傾向(筆者撮影)

いわば、現在は「弁当屋不調」ともいえる時期なのだ。

この要因としては、コロナ禍以後、大規模なイベント等での仕出しが減ったことがあるだろう。また、コメを中心としたここ数年の物価高の影響もダイレクトに業績に響いている。それは、各社の決算説明会資料で述べられていることでもある。

弁当屋のパイがスーパーや外食に?

一方、消費者心理に立ってみると、物価高の中で、わざわざ「弁当屋」で食事を買うメリットが減少していることも指摘できよう。

食事の選択肢として、強敵が現れているのだ。

特に、ここ数年は私がいわゆる「令和型スーパー」と呼んでいる、「食品特化」「格安」「効率的な経営」を特徴とするスーパーの勢いが増している。その代表選手が、オーケーやロピア、あるいはトライアルである。これらのスーパーの多くは総菜・弁当にも力を入れており、品質も良く人気が高い。

特に、オーケーの名物であるカツ丼は300円ちょっと。ほっかほっか亭のロースカツとじ弁当は710円で、コスパだけ見れば遠く及ばない。ちなみに私がカスタマイズ弁当を頼んだ「京橋3丁目店」の500m先にはオーケーの銀座店があり、この周辺のオフィスワーカーの多くが、この銀座店に流れているのではないかと推測する。

オーケー ロースかつ重
オーケーのロースかつ重。ボリュームもしっかりあって、300円台で食べられる(筆者撮影)
オーケー
オーケーの関西1号店である高井田店(東大阪市)。昨年からオーケーは関西進出を行い、全国覇権を握ろうとしている(筆者撮影)
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