あなたにも出来る!社労士合格体験記(第51回)--お勧めの勉強法は、音読と書くこと
寡婦年金の要件は結婚10年
ところで、国民年金の寡婦年金に「婚姻関係が10年以上継続」という要件が登場します。寡婦年金は厚生年金にはない、国民年金第1号被保険者のみの独特の給付です。夫が老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年以上)を満たしたが、年金を受給する前に死亡した場合に、生計維持関係のある妻に一定の要件で支給されます。
ただ、寡婦年金は年金といっても、支給される期間が最長で5年間に限られています。妻が60歳に達した日(誕生日の前日)の属する月の翌月から、65歳に達した日の属する月までで、その後は、自分の老齢基礎年金が支給されることになります。さらに、試験では受給権自体は60歳前でも発生するが、支給は60歳翌月という論点が問われているので、注意してください。
寡婦年金の額は、夫の死亡日の属する月の前月までの、第1号被保険者期間としての、死亡日の前日における保険料納付期間及び保険料免除期間から計算した、老齢基礎年金の額の4分の3に相当する額です。
細かい要件にも注意
寡婦年金は、過去問題で細かい支給要件が問われています。そして、これらの要件を欠くと、間違いの選択肢になる可能性があることにも注意が必要です。
1つは「夫が障害基礎年金の受給権者であったことがないこと」。この要件は、「受給権者であったこと」がある場合、実際に障害基礎年金の支給を受けたか否かにかかわらず、寡婦年金の支給はされないことがポイントです。そして、「旧法の障害福祉年金」の場合は受給権者であっても支給されるという例外も押さえておきましょう。
もう1つは「夫が老齢基礎年金の支給を受けていなかったこと」。ここは「受給権者」ではありませんから、実際に支給を受けていない限り要件に該当します。
また、同じく国民年金第1号被保険者独特の給付である「付加年金」を組み合わせた問題も頻出です。死亡した夫が付加保険料を納めていたとしても、寡婦年金の額についての加算はありません。ダジャレではありませんが、「寡婦(カフ)に付加(フカ)なし」ですね。
次回は、都心でもタケノコが掘れる!です。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。Mr. MISU国際行政書士事務所、中央社労士オフィスみす開設。現在は、LEC講師として社労士「新合格講座」「人事労務基礎科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら