一方、フランスとイタリアの間では、ウクライナの「安全の保証」に強い意欲を見せるフランスのエマニュエル・マクロン大統領に対し、反移民のイタリア右翼政党「同盟」の書記長で、同国の副首相でもあるマッテオ・サルヴィーニ氏が「マクロン氏はヘルメットを被り、自分が戦場に行けばいい」と批判。フランス政府が駐仏イタリア大使を召還し、抗議する騒ぎが起きた。
マクロン氏は昨年来、ウクライナ派兵に言及してきた。ただ、調査会社オドクサの世論調査によるとフランス国民の68%が派兵に「反対」とされ、ほかの調査でも多くの国民が派兵に慎重な姿勢を持っていることが示されている。とくにRN支持層の8割が明確に反対を表明している。
英国の世論調査(2月、調査会社YouGov)では、58%が「ウクライナと他国とともに平和維持部隊として派遣されることを支持」と回答した一方、戦闘地への派遣には慎重な意見も少なくない。キア・スターマー首相は「和平合意成立後に平和維持部隊として派兵もありうる」とし、公約として議会承認を求める方針を掲げているが、英国は議会の決定権が強いので、首相の意向どおりには進まない可能性もある。
イタリアでは、軍を派遣することに対する国民の支持率は非常に低い。3月のYouTrend(Sky TG24)による調査では、41%が「国際連合主導の平和維持ミッションであれば派遣を支持」、38%が「いかなる派遣にも反対」、わずか10%が「NATOの一環としての派兵に賛成」であるとの結果が出ている。
同国のジョルジャ・メローニ首相も国民感情を反映し、一貫して「派兵は検討していない」という声明を発表している。英仏から提案された平和維持部隊についても、「非常に複雑でリスクが高い」と否定的だ。
「安全の保証」は実現可能なのか
それでは実際問題、トランプ大統領が「アメリカはウクライナの防空システム強化は行うが、地上軍の派遣は行わない」と発言し、欧州の大多数の国民がウクライナ派兵には慎重な中、ウクライナの「安全の保証」はどのようにして担保されるのだろうか。
EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は、ロシア側がウクライナの領土を割譲するよう迫る発言をしたことについて、「プーチン氏がわれわれを陥れようとしているワナだ」と語った。マクロン大統領も「プーチン氏が約束を守ったことはない」と発言している。
ロシアがウクライナの「安全の保証」を容認した点についても、欧州内が分裂することを承知でウラジーミル・プーチン大統領はゲームを楽しんでいるとの見方がある。つまり、欧州がウクライナ支援の体制を一段階上げるのに手間取っている間に、ロシアがウクライナへの攻撃を強化して壊滅的被害を与え、ロシア主導の和平交渉にするという計算が見え隠れしている。
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