とはいえ、大統領が直々に関与することで本気度を示すアメリカや、どんな方法であれ和平を実現させるという実利を追求する英仏独に対して、イタリアやスペインなど、腰が引けている国もある。
それを象徴する国がハンガリーとスロバキアだ。この2国はEU(欧州連合)やNATOの軍事支援そのものに懐疑的で、軍隊派遣の可能性は極めて低いとみられる。とくにハンガリーは天然ガス輸入の約80%をロシアに頼っている。ロシア産への依存が大半だったスロバキアは供給ルートの分散を進めているが、ロシアルートを断つには至っていない。
このように、ウクライナの「安全の保証」確保に主体的に関与するはずのEUも一枚岩ではない。
欧州で伸長する「極右勢力」というハードル
2024年にEU各国で実施された欧州議会選挙では、EUに懐疑的な右派・極右勢力が伸長した。全体としては親EU勢力が優勢を維持したが、個別に見るとフランスの右派「国民連合(RN)」やドイツの極右「ドイツのための選択肢(AfD)」といった勢力が、国政を左右する規模にまで拡大している。
これら極右やポピュリスト政党は、基本的にウクライナ派兵どころか、ウクライナ支援にも反対しているため、ウクライナの「安全の保証」への関与についても強い抵抗が予想される。
とくにドイツでは、1941年の独ソ戦でウクライナ(当時はソ連領)に侵攻した際に大量の戦死者を出したことから、ウクライナ支援にトラウマがある。さらに同国は近年、
ドイツ連邦議会国防委員会のトーマス・レーヴェカンプ委員長(与党・キリスト教民主同盟=CDU所属)は、ロシアとウクライナの間で恒久的な停戦が実現した場合、ドイツ軍が必要になるとの考えを示したが、AfDは強く反対。AfDのアリス・ワイデル党首は、CDUが地上軍の派遣を検討したこと自体が「好戦的」だと強く批判した。
欧州の地上軍派遣を後押しするトランプ氏とは矛盾する極右AfDは自国優先主義で知られるが、メルツ政権がウクライナ派兵を選択するようなことがあれば、徹底的に抵抗する可能性が高い。
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