とある依頼者の女性は母と定期的に顔を合わせ、親子関係も良好だった。母は決まって「美味しいランチのお店を見つけたから、そこに行かない?」と娘を誘った。ランチの後は2人で会話を楽しみ、笑顔で家に帰る母を見送った。
「ただ、その家がゴミ屋敷だった。娘に家の惨状を知られないように母はいつも明るく振る舞っていたんです。娘もまさか母の家がゴミ屋敷になっているとは想像できなかったでしょう。ゴミ屋敷で悩んでいる人は家族にも友人にもその事実をひた隠しにしていることが多いんです。その悩みに気付いてあげるのは、そう簡単なことではありません」
最後に親に連絡をしたのはいつだろうか。実家に帰ったのはいつだろうか。小さい頃によく面倒を見てもらっていた祖父母や親戚の家に寄ったのはいつだろうか。

ゴミ屋敷にはそれなりの事情がある
ゴミ屋敷の住人が亡くなった場合、苦労を抱えるのは遺族だけではない。身寄りがなかったり、遺族が現れなかったりした場合はどうなるのか。住まいが団地であれば自治体が荷物の撤去を手配することになるが、そうでない場合は大家がすべてを負担することになる。
「荷物の撤去費用も大家が出すことになりますし、部屋で亡くなっていた場合は大幅なリフォームが必要になることもあります。さらに“事故物件”になるので、部屋の価値も下がってしまいます。だから、高齢者の方は今、家を借りづらくなっている。言葉を選ばずに言うと、大家からしてみたら高齢者に家を貸してもいいことが1つもないんです」


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