≪神戸女性刺殺事件≫“次の被害者”を生んだ司法判断 前回事件で住居侵入・首絞めの谷本将志容疑者(35)はなぜ見逃された?

2025年8月20日に発生した神戸市中央区の女性刺殺事件は、刑事司法における量刑判断の妥当性と再犯防止のあり方を問う重大な事例となっている。
谷本将志容疑者(35)は、2022年にも別の女性宅への住居侵入・傷害・ストーカー規制法違反で有罪判決を受けていた。
裁判長は、「思考の歪みは顕著である。再犯が強く危惧されると言わざるを得ない」と述べながらも、懲役2年6カ月、執行猶予5年(保護観察なし)という判決を下していた。
そして今回、その執行猶予中に重大な再犯に及んだわけで、執行猶予という量刑は妥当だったのかという大きな疑問が持ち上がっている。
より信頼の置ける再犯リスクの判断や再犯防止策を実施できなかったのだろうかということも疑問だ。
前回の判決の妥当性とその限界
前回2022年の事件において、谷本容疑者は、被害女性自宅マンションのオートロックを5回にわたって突破し、ストーカー行為を続けていた。そして、帰宅を待ち伏せし、住居に侵入、1時間にわたって居座り一方的に好意を伝え続けた挙句、首を絞める暴行を加えた。
判決理由では「思考の歪みが顕著で、再犯が強く危惧される」と明記されていたにもかかわらず、「初犯であること」「傷害が軽微であったこと」「反省を示していること」などを理由に実刑を回避し、執行猶予が与えられた。
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