負債総額は約260億円!《ミュゼプラチナム》運営会社、"破産手続き開始"へ。脱毛サロンの倒産としては「過去最大規模」に…その顛末を徹底解説!

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脱毛サロン・クリニックの多くは足元で、3つの大きな課題に直面している。

まずは、価格破壊だ。美容脱毛から医療脱毛にトレンドが移るなかで医療脱毛の相場は「かつての半分以下になった」と言われる。美容脱毛はさらに低い価格帯にしなければ、集客が難しい状況を余儀なくされている。

次に、消費者が使う金額には限度があるということだ。脱毛は、化粧品や食品のように何度もリピートするものではない。20代のときに医療脱毛がいちど完了している女性は以後、脱毛漏れがない限りサロン・クリニックに通う必要がそもそもない。

このため、現在は顧客ターゲットが低年齢化しているほか、未開拓だった男性向けに商機を見いだすサロン・クリニックも多い。女性脱毛専業では成長が望めないことに気づき、美容医療や総合美容を展開する事業者が増えている。

3つ目は、前受金ビジネスであることだ。新規顧客を呼び込むための広告費がかさみ、自転車操業に陥りやすいことは前述したとおりだが、まさに今こうしたビジネスモデルそのものが曲がり角を迎えている。

同業者間の競争と淘汰はしばらく続くだろう

あらためて脱毛サロンの歴史を振り返ると、同業者間の競争と淘汰の連続だった。

知名度やイメージが新規獲得に直結するため、芸能人を起用した広告を出し続けなければならない。先行して膨らむ広告宣伝費に加え、ライバル店に負けない立地の良さも不可欠となることから、多額の出店コストも経営の重荷になりやすい。

少子化が進むなかで体力勝負のこうした消耗戦が続けば、ビジネスモデルと資金繰りが限界に達した脱毛サロンから、次々と破綻に追い込まれるのは必然といえる。競争と淘汰の結果として、多数の消費者が被害に巻き込まれる事態は今後もしばらく続きそうだ。

【もっと読む】「今夜の会食で予約していたのに、当日に倒産するとは・・・」 高級中華料理の名門《聘珍樓》倒産の一部始終 “3度目の倒産”は必然か では、帝国データバンクの内藤修氏が、老舗中華料理店の倒産の顛末について詳細にレポートしている。
内藤 修 帝国データバンク 情報統括部 情報編集課長

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ないとう おさむ / Osamu Naito

2000年入社。本社情報部、産業調査部、横浜支店情報部長、情報統括部 情報取材課長を経て、2023年10月から現職。24年間で約3000社の「倒産した会社」と「倒産しそうな会社」を取材。入社以来一貫して、倒産企業の取材、倒産動向のマクロ分析とともに、注目業界の動向やトピックをまとめた調査レポートの作成を担当。専門は、倒産動向分析、企業再生研究。横浜市出身。

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