アップル、好決算の陰でiPhoneが意外な失速 出荷台数が事前予測に届かず

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大ヒットしたiPhone 6、iPhone 6 Plusの後継モデルとなるiPhone 6s、iPhone 6s Plusは9月に発売され、今回の決算には6日分の販売日数が含まれている。発売後3日間で1300万台を販売し、過去最高の数字している。しかしながら、iPhoneの同四半期における販売台数の予測は4880万台であり、この予測には届かなかった。

旧機種であるiPhone 6シリーズの勢いが強すぎたと見ることもできるが、発売のタイミングで中国を初期の販売市場に含めていたことを考えると、意外な失速として受け止めるべきだと考えている。要因は中国市場の混乱の直後であったことや、iPhone 6sが前作ほどのインパクトを与えられていない点、中国メーカーの躍進、先進国市場での飽和状態の進行などが考えられる。

iPhoneは他のカテゴリにも影響する

iPhoneは他の製品カテゴリにも影響を与える。iPhoneと連動するのは、Mac、サービス、その他の製品の3カテゴリだ。

Macが連動する理由は、iPhoneをきっかけにアップルブランドに触れる機会が増えることだけでなく、iPhone向けアプリ開発が活発化すれば、必ずMacが必要となる点が挙げられる。またサービスにはApp StoreやiTunes Store、そしてApple Musicが含まれており、その他の製品の目玉は今やApple Watchだ。

第4四半期の売り上げは、Macが前年同期比で4%増の68.8億ドル、サービスが前年同期比10%増の50.9億ドル、その他の製品に至っては、前年同期比61%増の30.4億ドルだった。Apple Watch投入によるその他の製品の伸びが顕著だ。

なお、Apple Watchの具体的な販売個数については依然として明らかにされなかった。Apple Musicについては、Wall Street Journalのカンファレンスに登壇したクック CEOから「ユーザー数1500万人、有料会員数650万人」という数字が明らかにされたのとは対照的だ。

今回の決算の中で、マイナスが目立つ箇所は限られているが、その中でも非常に厳しいのがiPadだ。

2015年第4四半期においては、980万台を販売しているが、この数字は予想の1010万台も、前年同期の1231万台も、前期に当たる2015年第3四半期の1093万台にも届かなかった。販売台数も収益額も、前年同期比でそれぞれマイナス20%と、落ち込みに歯止めがかかっていない。

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