5人の命が奪われたタイタニック見学ツアー事故の全容を、オーシャンゲートCEOの実態とともに沿岸警備隊が報告
ボーイングは圧潰事故後にABCニュースに対して、「ボーイングはタイタンのパートナーではなく、設計も製造もしていない」と主張した。沿岸警備隊の報告書によれば、ボーイングはサイクロプス1号のコンセプトデザインと予備的な実現可能性調査の概要を示したものの、実際の建造にはさまざまな追加作業があるとオーシャンゲートに報告していた。NASAも、声明で潜水艇の材料と製造・試験方法についてのガイダンスを提供したものの、それ以上の関与はないと述べている。
改善されなかった安全への対応
タイタンは、2022年に初めて有人でのタイタニック号への潜水に成功した。ただ、このときも海底で船体にケーブルが絡まってしまうなどの問題は起こった。幸いにも無事に脱出できたが、報告書は「オーシャンゲートには、深海でのケーブル絡まりに対するリスク軽減計画が存在せず、より深刻な状況に陥った場合に、タイタンの脱出をサポートするための水中ドローンなどといった準備もない」ことをしている。
ラッシュ氏の安全性軽視の姿勢は一貫しており、安全に関する懸念を伝えてくる従業員や、安全対策のために時間を費やそうとする従業員をたびたび解雇し、安全性よりも操縦の手間が省けたり、コストを軽減するようなアイデアをより歓迎した。
たとえば、タイタンが水面から引き上げられているときは、船体前部の透明なドーム型のパーツを18本のボルトで固定すると決められていたが、あるときラッシュ氏は、それを4本に減らすよう指示した。理由は単に「そのほうが早いから」だった。
しかし、後にタイタンが船の甲板上に吊り上げられたときに、4本のボルトがすべて折損し、ドームが落下する事故が発生した。
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