5人の命が奪われたタイタニック見学ツアー事故の全容を、オーシャンゲートCEOの実態とともに沿岸警備隊が報告
また、オーシャンゲートの安全文化にも「重大な欠陥」があり、その職場環境は「有害」だったと評価。潜水艇タイタンについても、有人船舶として「未登録、未認証、未分類」のまま、ラッシュ氏によって「重要な検査、データ分析、予防保全手順を完全に無視した」状態で運用されていたと報告している。
ラッシュ氏の性格を示すエピソードとしては、2016年の沈没船調査時のトラブル事例がある。オーシャンゲートは当時、タイタンの前身となった潜水艇サイクロプス1号を使用して、水深73mに沈んだ客船アンドレア・ドーリア号を2日間にわたり調査した。しかしこの調査中、ラッシュ氏は操縦を誤り、サイクロプス1号が沈没船の船首と海底の隙間に挟まって身動きが取れない状態になってしまった。

このとき、ラッシュ氏は思うように脱出ができないことに苛立って癇癪を起こし、操縦の交替を申し出た副操縦士に操縦用のコントローラーを渡そうとしなかった。そして、しばらくして少々落ち着いた頃に、海上の管制スタッフが副操縦士への交替を提案したときに、ラッシュ氏はコントローラーを投げつけるようにして副操縦士に渡したとのことだ。副操縦士は無事にサイクロプス1号を海上に帰還させることができたという。
その後も、オーシャンゲートの潜水艇は何度か沈没船にケーブルが絡まってしまうトラブルを起こした。また、サイクロプス1号の設計を改良して作られたタイタンを使い始めてからも、それは変わらなかった。
タイタンの設計
タイタンは全長6.7m、重量1万432kgで、船体の4ヵ所に電動スラスターを推進力として装備している。また、圧力容器となる胴体部は1層あたり2.5cm、5層のカーボンコンポジット製耐圧シェルとし、その後端部を半球型のチタン製隔壁で閉じ、前端部には外界観察用の23インチアクリル製半球型ドームが取り付けられる。そして、理論上は最大4000mまで潜行可能とされた。
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