「低い声と関西弁がいい」「なぜか説得力がある」“次期首相候補ランキング”の常連《高市早苗氏の演説》がなぜか気になってしまうワケ
高市氏の装いは一貫している。白・黒・紺系のスーツに、パールや銀の細身のネックレス。余計な装飾を避けることで、聴衆の注意は声や表情に自然と集まり、伝えたいメッセージが濁らない。
シンプルさは迫力を削ぐどころか、むしろ注目を一点に集中させる戦略として機能している。
「シルエット」の説得力
とりわけ重要なのは、シルエットがもたらす効果だ。
肩幅のしっかりしたジャケットは舞台上での存在感を際立たせ、直線的なラインは決断力や統率力を、張りのある素材は力強さを直感的に印象づける。
男性が多数を占める政治の世界では、こうした要素が視覚的に「引けを取らない」印象を与え、リーダーとしての立ち位置を強固にしている。
心理学でも、直線は強さや緊張感と結びつき、曲線は親しみやすさや柔和さを連想させることが知られている。つまり彼女の装いの選択は、「強いリーダー像」を補強する方向に働いているといえる。

さらに、高市氏の装いは、横から見たときに奥行きのあるシルエット(または立体感)を生み出している。歴史的に見ても、権威を象徴する服装は男女を問わず「立体感」を強調してきた。軍服や制服が肩や胸元を整えるように設計されてきたのもそのためであり、ビジネスの世界でも立体的な仕立ては信頼感と安定感を伝える。
壇上に立つ経営者やリーダーが堂々と映るのも、服の構造と姿勢が一体となって「揺るぎなさ」を示すからだ。
高市氏のテーラードジャケットスタイルもまた、直線美を強調する仕立てと張りのある素材によって立体感を際立たせ、装いそのものが力強さを補強している。
テレビ番組などでの所作は抑えめだが、対談や演説では場面に応じて動きに強弱をつけている。演説で大勢に語りかけるときには手のひらを左右や上に大きく広げて空間を掌握するように示し、細部を説明するときには指先や小さな動きで補う。

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