「低い声と関西弁がいい」「なぜか説得力がある」“次期首相候補ランキング”の常連《高市早苗氏の演説》がなぜか気になってしまうワケ
英国で女性初の首相となったマーガレット・サッチャーは、就任前に徹底したボイストレーニングを行い、声を低く鍛え直したことで知られている。女性が男性中心の政治の舞台で「首相」という地位を目指すとき、声は単なる個性ではなく、権威の象徴に変わるのだ。
高市氏もまた、もともと低めの声を持ち、それを抑揚や間の取り方で生かしている。自然体のまま説得力を伴う声質は、彼女が次期首相候補として存在感を放つうえで、大きな資産になっている。

あえて一点に集中する理由
討論や対談での高市氏は、視線をそらさず相手を見据える。さらに強調したい局面では、眼を見開き、一瞬静止する。
歌舞伎の「見得」のように、その瞬間が場を支配する。そこにはわずかな緊張感が漂い、見る者に静かな圧力を印象づけるのだ。
政治家の中には、聴衆全体に視線を散らして柔らかさや親近感を印象づけるタイプも少なくない。しかしそのスタイルは、対立局面では迫力や支配性に欠けることがある。
高市氏は演説の際には広く視線を配るものの、討論や対談では視線を一点に束ね、射抜くようなまなざしで、揺るがない意志や強固な立場を強烈に伝えている。

心理学の研究では、強い視線は優位性や権威のシグナルとされる。さらに近年の実証研究では、強いアイコンタクトが「有能」「カリスマ的」といった評価につながりやすいことが示されている。
高市氏の“視線戦略”は、まさにその効果を最大限に引き出し、場全体を掌握する力として機能している。とりわけ女性政治家において、ここまで視線を強く前面に打ち出す例は稀であり、彼女の存在感を際立たせる要因となっている。
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