夏休み明け目前、教員も学校行きたくない?先生たちを憔悴させる「保護者」たち 保護者の相談「通常時と異常時」見分けて対応を

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私は以下のとおり、会議の場で、文科省に意見を出ししている。

〇「首長部局ないし第三者機関において対応することを基本とする」とするべきではないか。なぜなら、学校等と揉めに揉めているケースでは、教育委員会が入ったところで、保護者等にとっては、教育委員会は学校の味方、身内にうつるし、事態が前進しないことも多い。むしろ教育委員会が抱え込むことで、対応をより悪化させることもある。また、関係者にはよく知られているが、教育委員会職員の過重労働ぶりも大きな問題である。
〇現状では、保護者のケア(カウンセリング的なところ)も学級担任等が担っていることもあるが、保護者支援は福祉の領域であろう。熊本市では、首長部局に「こどもの権利サポートセンター」を設置し、第三者性を確保しながら専門家による保護者支援等を行っている(子どもや教職員も相談できる)。都道府県・政令市ごとに、市区町村共同でこうした専門機関を設置するのも有効ではないだろうか。

保護者の相談に時間制限を設けられないか

もう一歩、踏み込んだ対策についても考えてみたい。電話にせよ、対面にせよ「いじめ対策など真に緊急性の高い事案を除いて、保護者との相談は原則30分以内(もしくは20分以内など)にする」「話して解決しないケースは、前述のこどもの権利サポートセンター等において、第三者が双方の事情を把握したうえで仲介する」といった約束事を保護者にしっかり共有しておくことが必要だと思う。

「妹尾はクレームを受ける当事者ではないので、気楽なことが言えるんだ」というご意見を(教職員から)たまにいただくが、私から見ると、学校はあまりにも丁寧すぎる。例えば、1時間その保護者に付きっきりになったら、その分、ほかの児童生徒のための時間が奪われることになるし、教職員が疲弊しては子どもたちにとってよいわけがない。仕事がイヤになってやめる人が増えても、欠員補充は昨今なかなかできない。

一定の枠組み、約束事を決めておき、少しでも教職員を守る仕組みにしていったほうがよい。教育委員会が上記の約束事に関する文書を出し、入学式などで校長は説明、説得に向けた努力をしていくべきだ。

精神科医だって、自殺願望のある患者に対して2時間も3時間も応じない。カウンセラーも、数十分の面談に限られる。以下は、私が講演のときによく使うスライドだ。

出所:筆者資料

プロは自身を守りつつ、限られた時間でよい対応をすることを目指すべきだし、前述のとおり、教職員は子どもの成長の支援がメインであり、保護者へのケアのプロである必要はない。

※本記事は、妹尾昌俊『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』教育開発研究所の一部を加筆修正して作成しました。

(注記のない写真:mits / PIXTA)

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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