私は以下のとおり、会議の場で、文科省に意見を出ししている。
保護者の相談に時間制限を設けられないか
もう一歩、踏み込んだ対策についても考えてみたい。電話にせよ、対面にせよ「いじめ対策など真に緊急性の高い事案を除いて、保護者との相談は原則30分以内(もしくは20分以内など)にする」「話して解決しないケースは、前述のこどもの権利サポートセンター等において、第三者が双方の事情を把握したうえで仲介する」といった約束事を保護者にしっかり共有しておくことが必要だと思う。
「妹尾はクレームを受ける当事者ではないので、気楽なことが言えるんだ」というご意見を(教職員から)たまにいただくが、私から見ると、学校はあまりにも丁寧すぎる。例えば、1時間その保護者に付きっきりになったら、その分、ほかの児童生徒のための時間が奪われることになるし、教職員が疲弊しては子どもたちにとってよいわけがない。仕事がイヤになってやめる人が増えても、欠員補充は昨今なかなかできない。
一定の枠組み、約束事を決めておき、少しでも教職員を守る仕組みにしていったほうがよい。教育委員会が上記の約束事に関する文書を出し、入学式などで校長は説明、説得に向けた努力をしていくべきだ。
精神科医だって、自殺願望のある患者に対して2時間も3時間も応じない。カウンセラーも、数十分の面談に限られる。以下は、私が講演のときによく使うスライドだ。

プロは自身を守りつつ、限られた時間でよい対応をすることを目指すべきだし、前述のとおり、教職員は子どもの成長の支援がメインであり、保護者へのケアのプロである必要はない。
※本記事は、妹尾昌俊『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』教育開発研究所の一部を加筆修正して作成しました。
(注記のない写真:mits / PIXTA)
執筆:教育研究家 妹尾昌俊
東洋経済education × ICT編集部
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