日経平均は常識的な指標面で考えればそろそろ天井圏、だがむしろ「平成バブルのスタートのような匂い」がしてきた
減速する世界経済の中で、世界的な株高になっているいちばんの理由は、「カネ余り」で、アメリカの市場からあふれたでたカネは欧州に入り、さらにあふれて日本にも向かっているからだ。
しかも、日本国内のカネ余りも顕著だ。日銀によると、7月のマネーストックM3(世の中に出回っているおカネの量)の平均残高は、前年同月比+0.6%の1619兆4000億円と、4カ月連続で増加し、連続で過去最高を更新している。日銀は金融正常化に向け動いており、マネタリーベース(日銀の通過供給量)がピーク時からは約40兆円も減らしているのだが、その最中の中でのこの数字は、銀行の信用貸し出しが増えているからで、インフレ経済の姿を現している。
平成バブル時の「Qレシオ」の匂いがする?
さらに、東京の兜町に通って55年の筆者のような者しかわからない「相場の匂い」かもしれないが、有力大手新聞の集計として、「上場企業の不動産含み益29兆円」の記事が出たのを見て、平成バブルの狂い花である「Qレシオ」を思い出した。
Qレシオとは、日経平均のPER(株価収益率)が60倍を超し、PBR(株価純資産倍率)も5倍台となって適正株価が見いだせなくなった当時の市場が「実質株価純資産倍率」として、企業の将来の収益性や資産の利用効率を極端に高めた指標だった。
これはアメリカの経済学者であるジェームズ・トービン氏の投資理論「トービンのq」からとった指標で、企業が解散して所有者がすべて入れ替わると仮定したとき、そのときの株主と債権者が受け取ることのできる金額の1株あたりの評価だ。土地神話を信奉する当時の市場は「これで安心して買える」として、この理論をもてはやした。
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