【台湾報道】TSMCから「最先端2ナノ」核心技術が装置メーカーに流出→元従業員3人を逮捕、東京エレクトロンも捜査対象に浮上

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この記事では具体的な装置メーカーには言及していないものの、「日本のナショナルチームとしての新興企業が現在2ナノの量産準備を進めており、(捜査対象となっている)装置メーカーがこの新興企業の装置サプライヤーであるため、技術がこの企業に流出しているのかは業界で激しい議論の対象になっている」としている。

この新興企業とは、ラピダスを指しているとみられる。

7月にお披露目された北海道・千歳に建設中のラピダス工場。次世代半導体開発・量産ではIBMと戦略パートナーシップを締結している(編集部撮影)

一連の台湾報道について東京エレクトロンは、「台湾メディアで報じられている内容は会社として承知している」としたうえで、自社が台湾検察当局の捜査を受けているか否かについては「コメントしない」と回答した。

一方、台湾高等検察署は東京エレクトロンが捜査対象になっているのかという筆者の質問に対し、「本件は調査中であり、詳細については回答できない。調査に進展があり次第、今後詳細を発表する」と答えた。

14ナノ以下の半導体は核心技術

TSMCは「定期的なモニタリングの過程で、不正な活動を検知した。関与した人員に対して厳格な懲戒処分を行うとともに、法的手続を開始している」としたうえで、「本件は現在司法審査中であるため、現時点で当社からこれ以上の詳細を提供できない」とコメントした。

台湾は長年、中国による技術窃取の問題にさらされており、国家安全法の第三条で「国家の核心技術を不正な手段で取得すること」を禁じている。さらにその技術を外国で使う意図があれば、技術移転が未遂であっても処罰の対象となる。

また核心技術については行政院(日本の内閣に相当)がリスト化しており、半導体製造技術では14ナノ以下の技術が対象となっている。

台湾の安全保障政策に長く従事した関係者は「東京エレクトロンが捜査対象であったとしても、同社に核心技術を取得する意思があったか否かはまた別の論点であり、その意思を証明するにはある程度の捜査期間が必要」と指摘する。

そのうえで「ただし窃取の意思が認められた場合、処罰を受けるのは個々の従業員に留まらず、東京エレクトロンも対象となる可能性がある」との見方を示している。

杉本 りうこ フリージャーナリスト

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すぎもと・りゅうこ / Ryuko Sugimoto

神戸市出身。北海道新聞社記者を経て中国留学。その後、東洋経済新報社、ダイヤモンド社、News Picksを経て2023年12月に独立。台湾の経済誌『財訊』の日本特派員。

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