止まらない公明党の"地盤沈下"、どこかと組むにも八方ふさがり… 徐々に強まる「解散風」でも自公連立の枠組みでは無理筋なワケ

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もちろん“見返り”がないはずがなく、例えば「公明票」を得る代わりに比例票を差し出すなど、それぞれが極大化を目指して駆け引きを行ってきた。だが、WIN-WIN関係が築かれなければ、連立を組む意味がない。ここに来て「連立の枠の拡大」がささやかれているのも、こうした“限界”がもはや治癒できなくなったからだろう。

では、自公はどこと組むのが適当なのか。参院選では過半数まで3議席足りなかった自公だが、衆議院では13議席足りない。それを満たすのは、立憲民主党(148議席)、日本維新の会(38議席)、そして国民民主党(27議席)だ。

前出の公明党関係者は「日本維新の会なら組めるだろう」とささやくが、昨年の衆院選で公明党は大阪府内の4つの選挙区を日本維新の会に奪われた。そのため、組むには条件があり、「せめて5区(國重徹氏)と6区(伊佐進一氏)だけでも返してほしい」というのが前提という。

一方、立憲民主党や国民民主党とは「小選挙区で競合することが多いので組めないだろう」と言う。とりわけ「103万円の壁」の撤廃をめぐる“因縁”が、両者の接近を妨げているようだ。

所得税基礎控除の「103万円の壁」の撤廃をめぐって自公と国民民主党の幹事長は昨年12月、「178万円を目指して、来年から引き上げる」と合意した。ところが自民党が難色を示し、123万円を提示したが、今度は国民民主党側が納得しなかった。

そこで公明党が「160万円」を提示した。減税規模は1兆2000億円で、赤字国債を発行せずにすむギリギリの案だという。「これを国民民主党側はいったん受け入れておきながら、『代表が納得しなかった』といって後で拒否してきた」と、前出の公明党関係者は憤る。

「政党の枠組み」を変えるだけの限界が近づく

もっとも、連立の枠をどう変えようとも、自民党も公明党の党勢の衰えは否定のしようがない。高齢化や支持層の選挙への向き合い方の変化といった、いかんともしがたい要因に直面している公明党はともかく、自民党の場合は党勢減退の原因となっている議員たちが石破首相を大声で批判している状態だ。

いずれは政党の枠組みを変えることだけでは、乗り切れない事態が発生するかもしれない。そのとき、日本の政治はどう対応すべきなのか。答えはまだ見通せない。

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