「IKEAが世界で唯一征服できなかった国、それは日本」 ニトリとドンキの創業者が語る≪2兆円企業≫になれた”本当の理由”

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安田:私は29歳です。新卒で入った不動産会社が10カ月で倒産して、いきなり無職になりました。20代は麻雀で糊口をしのいで、30歳を目前にして、「泥棒市場」という小さなディスカウントストアを開きましたが、最初はさっぱり売れなかった。その後、40歳になる年にドン・キホーテ1号店を開業したものの、初年度は大赤字。それでも、ドンキは拡大成長を遂げて、いつのまにか同業者は消えていました。

こんな私が成功できた要因は何だったのかと振り返ったとき、「運」の存在に思い至ったんです。

似鳥:私も経営には運が非常に重要だと思いますね。ニトリの成功は「運が7割、実力が3割」だとよく言っているんです。いや、運が8割かな(笑)。

安田:似鳥さんもそうですか。無一文から2兆円企業を作り上げた私が、どうやって運を最大化してきたかを語ることで、若い方々に少しでも勇気や希望を与えられたらと思って、『運』という本を出したんです。

似鳥:拝読しましたけど、安田さんも私以上に苦労されて。

安田:いえいえ。企業が成長するには、経営者がどうやって運と向き合い、コントロールしていくかが重要です。多くの人は、「運なんて偶然の産物だから、考えてもしょうがない」と思考停止してしまう。幸運だった、不運だったと言うのは結果論だと。でも、運は結果じゃなくて、原因だと思うんです。

似鳥:実は私もね、『運は創るもの』(日本経済新聞出版社)という本を出しています。運とは、それまでの人づきあい、失敗や挫折といった経験から醸成されるもの。決して偶然の産物ではないですよ。

安田:運は、自らの行動によって変動する「パラメータ」のようなものですね。起点となる運への対応の仕方によって、幸運にも不運にもなる。運に向き合う感受性を磨くことが、経営者には重要なんです。

個人としての運を「個運」、集団としての運を「集団運」と私は呼んでいます。経営者は、個運だけでなく、従業員、お客様、取引先など、みんなを幸運にしないと、業績は上がっていかない。つまり集団運を良くすることが重要です。

似鳥:すごくよくわかります。私もね、大学を出て広告会社に入って、営業マンをやりましたが、月50万円のノルマが達成できなくて、半年でクビ。仕方なしに、親や知人から100万円借りて、23歳で似鳥家具店を立ち上げました。

ところが、私は人見知りなもんで、接客がサッパリ。結婚すれば従業員を雇わなくていいかなと、8回目の見合いでようやくつかまえたのが家内の百百代(ルビ・ももよ)でした。彼女は愛嬌も度胸も満点で接客上手。おかげで商売が軌道に乗りました。これが運のツキ始めかな。

毎日死ぬことばかり考えていた

安田:それからトントン拍子に行きましたか。

似鳥:最初は30坪の店で、なんとか暮らしていけたんですが、駐車場がなかった。それで借金して新しく250坪の店を出したら、近くに1200坪の競合店がオープンして、一気に資金繰りは悪化しました。赤字になり、金融機関から融資もストップされ、このままでは倒産だ、とそのころはうつ状態になっていましたね。何をやってもダメだから、俺なんか生きていてもしょうがないんだと。毎日朝から晩まで、死ぬことばかり考えていましたよ。27歳のころかな。

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