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ミネベアミツミ中興の祖「高橋高見」が残した金言 現代にも通用するM&AやTOBに対するポリシー

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「週刊東洋経済」1981年(昭和56年)1月31日号
特集「部品のユニクロ ミネベアミツミ『成長の流儀』」では、ミネベアミツミの成長の原動力に迫ってきた。
その中の、「元祖『買収王』にルーツ、ミネベア海外進出の極意」で触れられている通り、中興の祖で「買収王」の異名をとった故・高橋高見氏が同社の戦略のルーツにもなっている。高橋高見氏はどんな人物だったのか。週刊東洋経済に掲載した過去のインタビューでその片鱗を知ることができる。
ここでは1981年1月31日号に掲載のインタビュー「ビジネスに一般論は有害無益」を紹介する。M&AやTOBに対する哲学、会社経営の在り方など、今でも刺激的かつ示唆に富む高橋高見氏の発言が繰り広げられている。
※記事の文章は、週刊東洋経済に掲載された当時の原文のままで掲載しています。

その社名から分かるように、当社は極小軸受を主力とする会社だが、TOBによって傘下に“異色”の企業を収め、多彩な展開をみせている。電算機周辺の端末器やプリンタ、精密制御モータなどメカトロニクス分野に手を広げたかと思うと呉服のかねもりを買収するなど、意表を突く経営で注目される。平均的日本の経営者のワクをはみ出し、アメリカ型合理主義に立脚する高橋哲学の真髄は何か。

上場したからには高成長・高株価に

――近年、ミネベアは積極的にTOBをされていますが、その基本的理念はなんですか。

個人会社は利益さえ出ていれば問題がないわけです。従業員は自分の会社が儲かっていれば安心して、その会社に帰属する。銀行も取引先も安心してお付き合いくださる。

ところが、株式をいったん公開したとなると、株主の期待がありますから、やはり株価が上がるように経営しなければならない。株価の上がる大原則は会社が成長し続けることで、いま利益が上がっているから、財務内容がいいからということでは決してない。

ですから、我々もミネベアを中心にして、グループで成長政策をとってきたわけです。TOBはその一環ですし、一月一日からは傘下のメーカーの販売会社を全部合併して、株式会社NMBをつくりました。いままで各社がバラバラであったものが、今度は実体的に一緒になったわけです。営業権は企業にとって一番大事ですから、これが一体化されたことで企業の力も強くなり、大きく成長していくことができる。その成果は五七年九月期のグループ全体の経営利益一〇〇億円ということで、問いたいと思います。

日本ではTOBは異端視されていますが、そう考えるのは、いままでの体制を維持したいと思っている人々が作ってきた神話ですね。原理はやはり「時代の論理」に従って動きます。

――TOBされた会社はその事業の将来性を買ってのことですか。

そんな単純なものではない。なかなか分かってもらえないが、ビジネスは一般論でいっては意味がない。例えばアメリカは不景気である――一般論としてはその通りでしょうが、全体は我々にとってなんら意味がない。個々のビジネスこそ大事です。GMは悪い、クライスラーはつぶれそうだ――それは事実ですが、反面でアメリカのコンピュータ周辺機器業界は大変な好況で、みんなビジネスの拡大に備えて張り切っています。またレストランやビジネスホテルも不景気だが、しかし、あるレストランは立派に経営している。全体は意味がない。個々のビジネスが大事なんです。

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