「え、松潤がやるの!?」と原作ファンは驚いたが…日曜劇場「19番目のカルテ」松本潤が“意外とハマり役”なワケ
舞台は、総合診療科が新設されたばかりの総合病院。そこに総合診療医の徳重がやって来る。
総合診療医の役割は、患者の心理状態や生活背景をもとに最善の治療を見つけ出し、正しい治療へと繋ぐこと。「病気ではなく人を診る」ことが求められる。
徳重は決して我を押し出す医師ではない。なんなら、影の薄さすら感じる。柔らかな物腰で周囲に接する、いわゆる優しい先生タイプだ。独自の視点で診断に向き合っているため、同僚から変わり者と怪訝な扱いを受けたこともある。それらをひっくるめて、飄々としたキャラクターと評されることが多い。
だが徳重の魅力はそれだけでない。
徳重には、圧倒的医療知識を下地にしたコンサル力で周りを動かす胆力がある。加えて、患者の言葉の向こうにある本音を的確に読みとる鋭さ、瞬時に最適解を導くスピード感。
徳重晃とは、実に凛々しいキャラクターなのだ。
演出家・松本潤がキャラクターの輪郭を強くする
一方、徳重を演じる松本は国民的グループ・嵐として活躍するトップアイドル。さらにコンサートの演出家としても名高い。
松本のコンサート演出のキャリアはジャニーズJr.時代からはじまり、嵐のライブ演出全体を担うなどより本格的に。大規模ライブで使用される、透明なアクリル板でできた可動式のムービングステージは松本が発案者である。
「それSnow Manにやらせて下さい」(TBS)でコンサート演出について触れたことも記憶に新しい。
演出業に従事する松本は、常日頃から「どうすればオーディエンスを沸かせられるか」を思考する、いわば他者の視線を観察するプロだ。
なかでも、演出業は周囲との折衝が必要不可欠だろう。観察するプロ、周囲と対話することのプロである松本の素養は、周囲と協力し最適な治療へ導く徳重の姿と重なる部分も多い。
観察するプロである松本が総合診療医・徳重を演じることで、「人を診る医師」の輪郭がより説得力のあるものになるはず。トップアイドルが地味な変わり者役を演じる……逆張り的な注目はミスリードで、この配役は必然だったと言えるのではないか。
ドラマではぜひ松本の持つ折衝力、対話力を徳重晃の中に宿してもらいたい。
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