JR貨物、ライバル「自動運転トラック」と連携の背景 関東―関西間の高速道路で国内初の商用運行開始

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T2は7月1日から関東―関西間でレベル2の自動運転トラックを用いた商用運行を始めた。実証実験の結果が問題ないと確認され、いよいよ営業運行に至ったのだ。佐川急便、西濃運輸、日本郵便など5社がユーザーとして、高速道路上でT2の自動運転トラックを活用する。

自動運転トラックは当初は5台でスタートするが、2026年度末には25台まで増やす。T2の森本成城CEOは「許認可次第だが」と前置きしたうえで、「2027年には早ければ10月にもレベル4の自動運転トラックによる運送事業に移行し、そこから先はトラックの数をドンと増やして2032年には2000台にしたい」と意気込む。

自動運転トラック コンテナ
コンテナを載せて出発する自動運転トラック(記者撮影)

代行輸送手段の確保でモーダルシフトを

自動運転トラックならではの課題もたくさんある。たとえば、レベル2の場合、トラックドライバーはハンドルをいつでも握れるような体制で座っている必要があり、腕が疲れるかもしれない。そのため、腕を置けるアームレストを開発中。また、運転しない状態で長時間運転席に座っていることによるストレスや眠気についてはシステムが常時監視するという。

車体については、ドライバーの休憩が不要になり、常時走行するため、タイヤに負担がかかる。そのため、タイヤメーカーと自動運転にはどのようなタイヤが適しているのか検討中だという。

JR貨物にとって安定輸送が顧客獲得のカギになるだけに、代行輸送体制の強化は重要な施策だ。そして、トラック運転手の人手不足と残業規制により2030年度にはトラックの輸送力が34%不足する可能性も指摘されているだけに、「鉄道貨物輸送量を10年で倍にする」という国の目標は決して大風呂敷ではない。迅速に代行輸送できる体制を一刻も早く確立して、モーダルシフトを加速させるべきである。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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