JR貨物、ライバル「自動運転トラック」と連携の背景 関東―関西間の高速道路で国内初の商用運行開始

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自然災害などで貨物列車が運行不可能になった場合、鉄道コンテナを最寄り駅で下ろして運送事業者に協力を求めてトラックによる代行輸送を行う。船舶で代行輸送をすることもある。

しかし、貨物列車1編成(26両)で10トントラック65台分の荷物を運んでいるだけに、大規模な代行輸送となると全国からトラックを集める必要があり、迅速に代行輸送を実施できるとは限らない。そのため、食品関係など鮮度が重要視される荷主を中心に災害時の代行輸送リスクを敬遠してモーダルシフトが進まないという状況が起きている。

JR貨物もこの状況を改善すべく代行輸送体制の強化を急いでおり、12フィートコンテナを80個搭載可能な貨物船をセンコー海運グループと共同で新造し、2024年8月に就航させた。平常時はセンコーが保有し、災害発生時には代行輸送に活用する。また、山陽線ではトラック代行の実施に備えた拠点駅の整備を進めている。

さらに、2024年11月には日本通運や自動運転システムを開発するT2と共同で、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせたモーダルコンビネーションの実証実験を検討すると発表した。

自動運転トラックで代替輸送

トラック業界におけるモーダルコンビネーションとしては、長距離トラック輸送の一部を鉄道輸送に置き換えることでCO2排出量が削減でき、自動運転によってトラック運転手も減らせる。一方、JR貨物は輸送ルートが複線化されることで、災害時などに東京―大阪間で鉄道輸送が使えない場合の代替手段にできると考えている。自動運転によるトラック輸送が軌道に乗れば、トラックによる代行輸送の際、トラック運転手を確保する手間がなくなる。

では、自動運転システムを開発するT2とはどのような会社か。T2の設立は2022年。三井物産、三菱地所、三井住友海上、大和物流、KDDIなど名だたる大企業が出資している。JR貨物も株主の1社だ。

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