JR貨物、ライバル「自動運転トラック」と連携の背景 関東―関西間の高速道路で国内初の商用運行開始

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

T2の目標はレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスを2027年に開始することだ。レベル4とは高速道路など限定された領域においてシステムが完全に運転を担い、人間の介入なしに車両を制御できるレベルである。

「1日最大15時間と定められているドライバーの拘束時間と無関係に運行が可能であり、ドライバー1人あたり1日1運行(片道)が限界だった現状の輸送能力を、将来的には2倍(往復)まで高めることができる」とT2は考えている。もっとも、バスのレベル4自動運転はたとえば茨城県のひたちBRTがすでに運行しているが、BRT専用道を走っている。T2は交通量の多い高速道路での運行を目標とするだけにそのハードルは低くはない。

「レベル2」で高速道路走破

2024年6月、T2は新東名高速道路の駿河湾沼津SA―浜松SA間にて自動運転レベル2による連続自動運転走行の実証実験に成功した。レベル2とは部分的な運転自動化であり、アクセルとブレーキ操作による前後の加速や減速の制御と、ハンドル操作による左右の制御の両方をシステムが担う。運転の主体はドライバーで、システムは運転を支援する役割にとどまる。ドライバーはつねにハンドルを握って、運転状況を監視操作する。今回の成功で、目標とするレベル4自動運転の実現にはずみがついた。

実証実験はその後も徐々に走行距離を拡大し、2025年6月上旬には東名高速道路綾瀬スマートIC(神奈川県綾瀬市)から阪神高速道路の魚崎出入口(兵庫県神戸市)までの約500kmをレベル2自動運転で走破した。

そして、6月20日から24日にかけての北海道―関西間の実証実験である。ルートは北海道発大阪着で、札幌近郊にある雪印メグミルクの物流拠点から札幌貨物ターミナル駅までは日通のトラックが輸送し、札幌貨物ターミナル駅から隅田川駅(東京都)までは貨物列車が運ぶ。

隅田川駅から百済貨物ターミナル駅(大阪府)までは高速道路と前後の一般道を通ってT2のトラックが運ぶ。高速道路ではレベル2自動運転を行う。百済貨物ターミナルから大阪市内にある雪印メグミルクの物流拠点までは日通のトラックが輸送する。

この記事の画像を見る(5枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事