
「この工場はグリーン水素とグリーンアンモニアの製造プラントであると同時に、1つの独立した再生可能エネルギー・システムでもある。われわれの水素製造用電解槽は負荷の調整を全域で5分以内に完了し、(再生可能エネルギーの)電力の変動を吸収できる」
中国の再生可能エネルギー大手、遠景科技集団(エンビジョングループ)の水素エネルギー部門でチーフエンジニアを務める張健氏は、7月8日に開催された「赤峰グリーン水素・アンモニア・プロジェクト」の第1期プラントの操業開始式典でそう胸を張った。
遠景科技集団は内モンゴル自治区の赤峰市で同プロジェクトの建設を進めており、第1期プラントはグリーンアンモニアを年間32万トン生産できる能力を持つ。
総投資額は8000億円超
プロジェクト全体の総投資額は約400億元(約8150億円)。3期に分けて工場の規模を拡大し、完成時には年間152万トンのアンモニアを合成できる世界最大級のグリーン水素・アンモニア製造拠点を築く計画だ。
再生可能エネルギーを利用したグリーン水素の製造は、化石燃料への依存を減らす「脱炭素化」の手段の1つとして注目を集めている。だが、水素の貯蔵や輸送は技術的なハードルが高く、競争力のあるコストを実現するのが難しい。
そんな中、水素の貯蔵・輸送を容易にする「水素キャリア」として期待されているのがアンモニアだ。窒素原子1つに水素原子3つが結合した無機化合物であり、これまでは主に窒素肥料の原料として利用されてきた。
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