国立がん研究センター院内保育所の事業者選定で、嘉山理事長宛に園児の父母が「公開質問状」

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国立がん研究センター院内保育所の事業者選定で、嘉山理事長宛に園児の父母が「公開質問状」

国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)による院内保育所の運営受託事業者選定をめぐり、保育所の父母から嘉山理事長宛てに事業者選定のあり方に疑問を呈した「公開質問状」が突き付けられるという異例の事態が起きている。

嘉山氏は3月31日に同センターを退任する予定だが、退任を目前にした27日、院内保育所に子どもを預けている父母有志から嘉山氏宛に「国立がん研究センター院内保育業務の見直しをめぐる公開質問状」と題した文書が内容証明郵便で送付された。

日本を代表する大病院組織の理事長に、病院職員でもある保護者有志が公開質問状を送りつけること自体、きわめて異例だ。
 
 このような手段に及んだ理由について、保護者の一人は、「子どもを預けている私たちの意見に耳を貸さず、保育所の委託事業者見直しを強引に推し進めた嘉山理事長に、今回の件の問題点を問いたださずに済ますことになると後々禍根を残すことになりかねないと考えたからだ」と東洋経済記者の取材で語った。別の保護者は「引き継ぎ保育も十分に行われないまま、保育所の職員全員が一度に入れ替わることに大きな不安を感じている」と打ち明けた。



3月末で退任する嘉山孝正理事長

東洋経済記者が入手した公開質問状では、院内保育所の運営を受託する事業者を新たに選定する際の「企画競争のあり方をめぐって疑問を感じる点が少なからずあり」「4月からの保育に対して不安がぬぐえずにおります」との記述がある。質問状では「独立行政法人の企画競争の公平性、公正性に疑問を持たれかねない恐れを生じさせた可能性がある」とも記されている。そのうえで嘉山理事長に「3月30日午後5時までに文書でご回答いただきたい」と述べられている。

国立がん研究センターは「中央病院」(東京都中央区)および「東病院」(千葉県柏市、タイトル横写真)の2つの病院を有している。そして共働きの職員のために、「どんぐり保育園」(中央病院)、「ひばり保育園」(東病院)が各病院の敷地内に設置されている。3月現在、両保育所では計35人の子どもが保育されており、16人の職員が保育に従事している。

両保育所の運営はこれまで乳児用品・保育企業のピジョンが受託してきたが、1月10日に実施された競争入札の結果、4月1日からアートチャイルドケアがピジョンに代わって新たに運営を受託することになった。その際、賃金の引き下げなど労働条件の悪化やこれまでの保育内容を継続することが困難になることなどを理由に、保育所の職員全員が3月末で保育所を去ることが判明している。

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