当初から、AI研究の日本における第一人者である松尾豊氏の松尾・岩澤研究室(松尾研)をはじめとした、東大のAI関連の先端技術を研究してきたアカデミア人材が多く参画していた。現在の社員数は約300人、多数在籍するエンジニアは、その約半数が東大出身のAIのスペシャリストたちだ。
「AI領域のアカデミックな研究者が揃っているから、海外の最先端の論文を読んだうえで、それをプロジェクトで実際に活用できる」。そのうえで効いてくるのが、2つ目の特徴の「産業特化型」であることだ。
冒頭で触れたように企業のDXを推進するのが同社の事業だが、取引先は「ものづくり産業」に特化した。とくに設立当初から建設業界向けに力を入れている。
3Kのイメージが根強い建設業界は、他業界以上に深刻な人手不足の問題を抱えている。2024年からは働き方改革関連法の対象にもなり、深刻さを増した。加えてゼネコンからピラミッド上に多数の下請け業者がつらなる多重構造だ。しかも請求書や発注書、現場の指示書などはアナログ書類が根強く残る。
建築の情報を3Dデータ化し、設計から維持管理まであらゆる工程で利活用することを狙った「BIM(Building Information Modeling)」などの仕組みがグローバルスタンダードとして推進されているが、現場とのギャップが大きく、道半ばなのが現実だ。
逆に言えば、幅広い難題を多く抱える建設業界は、最先端のAI技術を駆使して課題解決に望むには、最適なフィールドとなる。
「設計領域では3Dや画像認識技術、建設現場ではロボティクスなど、建設業界の課題は、総合格闘技のようにあらゆるテクノロジーを駆使して立ち向かっていく必要がある。高いレベルの技術者じゃないと太刀打ちできない難題だと思っている」(石川COO)
建設業界の「暗黙知」を使えるデータに
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