「配慮に欠けるものであった」「心よりお詫び」…。「中国(台湾)」表記で波紋のセブン、その"謝罪文"にモヤモヤする背景

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なお7月15日になって、産経新聞がセブン&アイHD公式サイトの「セブン-イレブンの横顔」と題した資料にも、「中国(台湾)」の表記があったと報道した。そして、同社のコメントとして「国名や地域名の言及については細心の配慮のもと、今後検討していく」「表記に関して、当社として独自の立場を取るものではなく、政治的な意図もない」と紹介している。これでもまだ不十分だが、せめてSNSでも同様の説明を行っていれば、印象は異なっていただろう。

一連の投稿によりネットユーザーからは、「問題点すら気づけずに、無意識のうちに『配慮に欠ける言動』をしてしまう企業体質なのか」といった疑念が湧いている。これを解消するには、投稿そのものの謝罪に加えて、企業としての考え方も示す必要がある。

「日本人の国民性の表れ」と誤認されてもおかしくない

日本と台湾には正式な国交がないが、非政府間の実務関係を維持しており、民間レベルでは交流が盛んだ。とくに災害時は協力関係を築くことも珍しくない。2011年の東日本大震災では、台湾から多額の寄付があったことは広く知られている。それに対する「恩返し」もまた、ことあるごとに日本から行われている。

それはセブンも同様だ。2024年4月に発生した台湾東部沖地震では、「セブン-イレブン」店舗での募金を受け付け、17日間で約8322万円を集めた。一人ひとりは少額であったとしても、込められた思いは、金額では代えられない。そうした消費者や現場の思いを、1つの投稿でなきものにしてしまう可能性があると、どこかで気づかなかったのだろうか。

セブン-イレブンは、ルーツこそはアメリカ企業だが、いまや「日系のグローバル企業」として認識されている。世界的な影響力を持つ存在だからこそ、その言動が「日本人の国民性の表れだ」と誤認される可能性があることを肝に銘じなくてはならない。その点において、今回の一連の対応こそが、まさに配慮に欠けていると言わざるをえないだろう。

城戸 譲 ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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きど・ゆずる / Yuzuru Kido

1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ジェイ・キャストへ新卒入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長などを経て、2022年秋に独立。現在は東洋経済オンラインのほか、ねとらぼ、ダイヤモンド・オンライン等でコラム、取材記事を執筆。炎上ウォッチャーとして「週刊プレイボーイ」や「週刊SPA!」でコメント。その他、ABEMA「ABEMA Prime」「ABEMA的ニュースショー」などネット番組、TOKYO FM/JFN「ONE MORNING」水曜レギュラー(2019.5-2020.3)、bayfm「POWER BAY MORNING」などラジオ番組にも出演。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
X(旧ツイッター):@zurukid
公式サイト:https://zuru.org/

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