シャープに1300億円出資する台湾・鴻海の正体

提携でアップルと日本を囲い込み


 もうひとつは、日本のテレビメーカーの取り込みだ。前述のように、テレビ市場において鴻海はトップ企業に食い込むという持ち前の戦略を発揮できなかった。テレビにおいてのみ、鴻海は戦略を修正し、3位以下のメーカーの組み立て需要を根こそぎ集める「ちりも積もれば山となる」路線に転換する可能性が高い。

その際に確実にターゲットとなるのは、ソニー、パナソニック、東芝といった日本のテレビメーカーだ。今回のシャープとの提携発表に合わせ郭董事長は3月25日から提携発表日の28日まで日本に滞在していたが、この間に東京と大阪で大手家電メーカー各社を訪問したもよう。堺工場が大口供給先にソニーと東芝のテレビ事業部を有することも魅力だっただろう。

こういった状況を踏まえれば、鴻海とシャープの提携は日本の家電産業にとってプラスの効果が期待できそうだ。鴻海が将来自社ブランドのテレビを展開し、日本のテレビメーカーのライバルとなる懸念はおそらく小さいだろう。ただ、最終的にどの企業を顧客に選ぶか、その選択権が完全に鴻海にゆだねられていることは確か。テレビ産業の未来を乗せた日台連合艦隊の航路はまだ不透明だ。

(写真は3月27日にシャープが東京都内で開いた会見にビデオ映像で登場した鴻海精密工業の郭台銘会長)

(杉本りうこ =東洋経済オンライン、撮影:尾形文繁)

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