6月株主総会に異変、社長の座をかけた真剣勝負が頻発-好業績なのに再任否決になったケースも

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少数株主の発言力も会社側にとって無視できないほど大きくなってきている。三井住友信託銀によると、株主提案を受けた114社のうち、提案者がアクティビストら機関投資家だった企業は51社で過去最高を記録した。可決された株主提案は7社で14議案を数え、前年の2社2議案を大きく上回った。

栄研化学の総会では、英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が提案した剰余金の配当に関する定款変更の議案が73%の賛成を得て可決された。配当について「株主総会の決議によっては定めない」とする条項を削除する提案に、会社は反対を表明していた。

定款変更は出席株主の3分の2の賛成が必要な特別決議に当たる。AVIの保有比率は約4.9%で、可決へのハードルは決して低くなかった。AVI日本調査責任者の坂井一成氏は「持続的な株主共同の利益に資する提案内容だった」ことで、多くの賛同を得られたとコメントした。

企業のベストオーナーは誰か

最高経営責任者(CEO)の取締役選任議案に反対票を投じて意思表明する投資家も増えてきた。ゴールドマン・サックス証券のリポートによると、25年はリコー(64%)や三菱UFJフィナンシャル・グループ(65.2%)の承認率の低さが目立った。大企業で80%以上を得る割合はここ数年低下傾向にある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のM&Aアドバイザリー・グループ統括責任者を務める竜口敦氏は、今後はM&A(合併・買収)でも株主の動きが起点となる事例が増えていくとみる。企業価値の向上につながる抜本的な改革に踏み込めない企業には株主が事業再編などを「主張していく可能性がある」と話した。

ボードアドバイザーズの野口氏は「企業のベストオーナーは誰かということが6月総会の隠れたテーマだった」と指摘する。上場企業である限り、企業価値の最大化をできずに「祖業だから、雇用を守りたいからといった言い訳は通用しなくなってきている」と分析する。

著者:谷口崇子、横山桃花

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