卒業ではなく除籍も「公職選挙法上は問題ない」と主張…《学歴詐称?》静岡県伊東市・田久保真紀市長の弁解が大問題である理由
そこで、ふと感じるのが「ジャイアントキリング型選挙」が秘めている課題だ。ジャイアントキリングとは、圧倒的優位にある相手を、不利な立場の挑戦者が下すことで、「下克上」や「番狂わせ」「大物食い」を意味する英語表現であり、主にスポーツの世界で用いられる。
選挙で言えば、“現職打倒”だ。田久保市長は当選直後、まさにその文脈で注目を集めた。「現職男性に新人女性が挑む」構図は、メディア受けもいい。実際に当選直後には、「なぜ最下位市議が現職市長を破ったのか」と好意的に報じる大手紙もあった。
首長選や1人区では、事実上の一騎打ちになることが珍しくない。そうした選挙では、おのずと候補者同士の比較が、評価の中心になるが、それが単純化された結果、「新たな風」がゲタとなり、当選に一歩近づくのではないか。加えて、田久保氏の場合には「メガソーラーに賛成か反対か」「新図書館に賛成か反対か」といった、YES・NOがわかりやすい争点も持っていた。
全国各地で“ジャイキリ型選挙”が多発?
このような“ジャイキリ型選挙”および選挙報道は、ここ数年、全国各地で多発しているように感じる。筆者の地元である東京都杉並区でも、2022年の区長選で「政治未経験の40代が、4選を目指す都議出身の60代」を僅差で破り、注目を集めた。
この新人を追いかけたドキュメンタリー映画も話題になっている。しかし、区長選の争点が「現職か新人か」になってしまった結果、あまり個別の政策に焦点が当たらず、生まれ育った私からすると、消化不良感を覚えたのは否めない。
先日の東京都議選では、千代田区での「都政与党の現職VS.無所属の新人」が注目されている。最終的に約250票の僅差で新人が勝利し、都民ファーストの会が「東京の中心」で議席を落とした。
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