中国・香港株式市場に資金回帰の兆候 「官製相場」に投資家はなお及び腰

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「相場反転は投資家の一部が株式の持ち高を増やした結果だとの見方に、異論は出ていない」。国泰基金管理のあるミューチュアル・ファンドマネジャーは言う。「だが、これからはどうなるのか。多くの市場参加者は相場の混乱で手痛い損失を被った。すぐに戻ってくるとは思えない」。

このファンドマネジャーによると、債券利回りの最近の急低下が示す通り、金融システムにおける流動性は潤沢だという。ただ「リスク回避に傾いた投資家らは、経済が依然として低迷している限り、株式を買おうとはしない」という。

慎重姿勢の理由

上海市場の代表的な指数連動型上場投信(ETF)には、最近数週間、小規模な資金流入がみられた。ETFは保険会社など大企業が指向性のある株式投資として購入することが多い。つまり、これが小口の買いにとどまったということは、資金の潤沢な投資家は依然として慎重であることを示唆している。

大口投資家以外もその傷は深い。

広東省在住の学生、Zhou Junan氏(22)は「いまはマーケットに戻るつもりはない」と話す。Junan氏は1万5000元(2400ドル)の投資資金の3分の2を失った後、前月に市場から手を引いた。「弱い経済指標が多く、株価が上がるような良い経済ニュースが聞こえてこない」と言う。

確かに、慎重にならざるを得ないだけの理由はいくつかある。

小型株は引き続き割高だ。新興企業向け市場創業板(チャイネクスト)<.CHINEXTC>の株価純資産倍率(PBR)は76倍と、上海総合指数の14倍、S&P総合500種<.INX>の18.9倍をはるかに上回る。

国泰基金管理のファンドマネジャーは話す。「銀行株は割安だが、それでも人々はあえて買おうとはしない。経済がハードランディングを強いられる場合、不良債権により利益が吹き飛ぶからだ」

相場下落に備えたヘッジはさらに難しい。政府の「悪意のある空売り」に対する締め付けにより、指数先物取引は大きく落ち込んだ。

売買が徐々に回復しているのは、二番底へ向かう前の短期的な反発なのか。それとも、26日から始まる中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で策定される次期5カ年計画で、一段の景気刺激策が発表されるのではないかという過度な期待によるものなのか。リスクはそこにある。

だが、南海基金管理のダイ氏は動じていない。

「底値というのは、われわれのような投資家が、トレンド投資家の動きを圧倒した際に形成される。ただ、チャート上の上昇トレンドが明確な場合は、モメンタム投資家は市場に帰ってくるだろう」

(Samuel Shen記者、Pete Sweeney記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)

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