新人エンジニアの修理対応台数が5倍に。レノボ・ジャパンが群馬の修理拠点でAI故障診断支援システムを導入し、熟練技術者の暗黙知を継承

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NECPC群馬事業場の事例が示すのは、必ずしも最先端のクラウドAIを使わなくても、現場のニーズに合った実用的なシステムが構築できるということだ。製造ラインの異常検知や医療現場での緊急診断など、真にリアルタイム性が求められる場面では、エッジでのAI処理がさらに重要になるだろう。

集中から分散へ

日本のものづくりの現場に、AI革命の新たな波が押し寄せている。NECPC群馬事業場から始まった「分散型AI」の実践は、クラウド一辺倒だったAI活用の常識を覆しつつある。

「30年前、メインフレームからPCへの分散が起きた。今度は、AIがクラウドから個々のデバイスへと分散していく」(檜山社長)

レノボグループはスマホやモバイルPCからサーバー向けマシンまで多様な製品群を有する(筆者撮影)

この予言は、すでに現実のものとなり始めている。Copilot+ PCには、Phi(ファイ)というスモールランゲージモデルがプリインストールされ、開発者はクラウドに接続することなくAI機能を実装できるようになった。

「今まではパソコンがクラウドに繋がって生成AIを使っていた。でもこれってネットワークが必要でクラウドの利用費もかかる。これからは違う」(佐藤副社長)

製造現場での故障診断、医療機関での画像解析、小売店舗での需要予測──あらゆる場所で、その場所に最適化されたAIが、新たな価値を生み出し始めている。群馬の修理工場から始まった小さな革命は、AI活用の新たな地平を切り開いている。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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