「アメリカ・ウクライナ経済協定」にはロシアを引き入れよ!それが欧州を安定させ、世界の「レアメタル争奪戦」を緩和させることになる

4月30日、アメリカとウクライナがついに経済協定に署名した。簡単に言えば、両国が50%ずつ出資する「資源開発の共同基金」を通じて、豊富な地下資源を有するとされるウクライナの資源開発を推進、同国の復興に充当するものだ。
アメリカは、過去に実施した軍事支援などの分は回収しない形でウクライナに譲歩した。そのかわり、今後ウクライナに新規供与する兵器などは共同基金への出資に充当するだけでなく、資源開発から得られる収益の50%が共同基金に積み立てられることから、これを通じて、軍事支援の資金を回収する道筋もつけた。
一方、ウクライナは、共同基金の設立を通じて、アメリカから引き続き軍事支援を受けることが可能になった。アメリカに強く求めている「安全の保障」については確約をもらえなかったものの、協定署名によって、アメリカがウクライナの資源開発や復興に深く関わることが明らかになったことで、停戦交渉に応じないロシアに圧力をかける。
ウクライナに「レアアース」は大して存在しない?
アメリカのドナルド・トランプ大統領は「ウクライナは優れたレアアース(希土類)を大量に保有している。われわれはレアアースを常に探している」などと語り、「豊富な資源を有するウクライナからの権益確保」を誇示した。
果たして、これは本当だろうか。ひとことで言うと、「レアアース資源についてのアメリカの説明には経済合理性はないが、レアメタルについての共同開発には意味がある」と考える。
どういうことか。筆者はレアメタル(希少金属)の専門家を自認しており、ウクライナはもちろん、ロシア、中央アジア諸国には合計200回以上、資源開発を目的に訪問した経験がある。特にソビエト連邦が崩壊した後は、ウクライナや中央アジアなどの各国が資源開発の草刈り場のなったこともあり、これらの国に足繁く通ったものだ。
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