「世界一物価が高い国」スイスの鉄道旅行攻略法  「トラベルパス」で2週間以上滞在がベストだが…

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車窓も素晴らしい。イタリアへの速達ルートとして世界一長い山岳トンネルとなるゴッタルドベーストンネルがあるものの、私鉄景勝路線にはトンネルがほとんどなく、鉄道が日光いろは坂のようにくねくねと山を登り、遠回りしてでも景色を見せながら走るような路線になっている。

日本にも景勝路線があり、観光列車などが見せ場で徐行したりするが、スイスでは全線にわたって最初から最後まで見せ場という感じである。

私鉄が多いという日本との共通点があるが、東急や阪急のような私鉄があるのではなく、州政府も出資している場合が多いので、第三セクターのような地域鉄道がほとんどである。駅は国鉄と共用している場合が多い。割引切符も共用できるものがほとんどで、鉄道会社間の「横のつながり」がうまく機能している。日本同様に鉄道事業者が多いものの、その都度切符を買う必要がない。

鉄道を中心とした町作り

スイスで有名な列車に、観光列車の「氷河急行」「ベルニナ急行」があり、ともに景勝路線をたどり、豪華料理を楽しむこともできるが「スイストラベルパス」に指定席券をプラスしなければならないので乗車しなかった。写真撮影中心で乗車するなら、これら観光列車より、窓の開くローカル列車がおすすめである。観光列車は屋根のほうまで窓が回り込んでいて視界は広いが、固定窓である。

長距離バスは発達しておらず、路線バスも多くが鉄道のない部分を鉄道の補完的に運行、乗り継ぎや接続を重視している。国の方針として、鉄道を中心にした町作りで、地方の生活も自家用車ではなく鉄道への依存度が高い。都市部の路線バスは多くがトロリーバスであるし、鉄道は非電化路線がほとんどなく、環境保護が徹底している。日本より地方の鉄道路線が密であるにもかかわらず、ローカル線の存続問題は皆無である。

いっぽう、日本のほうが快適と感じるのは、エスカレーターが少なく、駅のトイレの多くが有料であることだ。これはスイスだけでなく海外各国で感じる。

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