“暴れ馬”パルコの行方、J.フロントがグループ化
「じゃじゃ馬」を手なずけられるか。大丸や松坂屋を運営するJ.フロント リテイリングが、ファッションビル大手パルコを持ち分法適用会社化する。パルコの筆頭株主である森トラストから33%強の株式すべてを3月下旬に譲り受ける予定だ。
J.フロントの奥田務会長兼CEOは「新百貨店モデル」を標榜。「ユニクロ」「ポケモンセンター」など外部テナントを積極招致するなど、従来の百貨店を超えた総合流通業への転換を進めてきた。
J.フロントにとってパルコは垂涎の的だった。渋谷や池袋など、駅近くの好立地に19店舗を展開。若者向けの店舗運営に独自のノウハウを持ち、毎期90億円前後の営業利益を安定的に稼いでいる。昨年ごろから、「J.フロントがパルコに強い関心を示していた」(業界関係者)という。
関西と名古屋を地盤とし、40代以上に強いJ.フロントにとって、パルコは地域的にも、客層的にも補完関係にある。業界内では、「5年後にリニューアル予定の銀座松坂屋を、パルコに変えるのではないか」とささやかれる。
パルコに嫌われたイオン
とはいえ、パルコという会社を御するのは容易ではない。ちょうど1年前、パルコに接近した会社があった。流通大手のイオンだ。同社は昨年2月までに外資系ファンドなどからパルコ株12%強を取得。森トラストと連携し、経営権を掌握しようと動いた。