「土下座は自主的だった」と万博協会は説明したが…《大阪・関西万博》「"カスハラ"で土下座」事案に運営が学ぶべきこと
冒頭の動画に戻れば、もし男性にカスハラ要素があるとすれば、こうした「たたいてナンボ」の価値観と背中合わせだと言えるだろう。
SNSは「大金をつぎ込んでまで開く意味はあるのか」といった疑念を発散する場としても機能する。開幕間際まで「会場準備の遅れ」が批判の的となっていた。直前リハーサルとして行われた「テストラン」でも、その混雑ぶりがバッシングとともに拡散されている。
テストランは本来、バグ出し(ソフトウェアの不具合を発見する作業)であり、その内容は万博協会へとフィードバックするものだ。しかし、それでは改善されないと感じたのか、第三者が気軽に読めるSNSへ投稿する参加者が続出。不具合が可視化されたことで、「直前まで準備不足だ」との印象を、さらに強める結果になってしまった。
カスハラの有無より重要なこと
このように「どのようにSNSで拡散されるか」は、イベントそのものの印象に直結する。とくに先述の事情から、目の敵にする人が多い万博なら、なおのこと気をつかっていなければならない。
思えば、前回の愛知万博(愛・地球博)が開催された2005年は、iPhoneの誕生以前であり、まだスマートフォン時代ではなかった。つまり大阪・関西万博は、「スマホ時代に突入して、初めての国内開催万博」となる。
これから10月中旬までの会期中、会場内ではあらゆるトラブルが起こるだろう。そしてそれは、今回のように「SNS上でさらされる」ことが前提となる。今回のようなスタッフと来場者のケースもあれば、来場者同士でもありうる。場合によっては、パビリオンを出展する国や地域を巻き込んだ、国際問題に発展するおそれすらある。
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