「土下座は自主的だった」と万博協会は説明したが…《大阪・関西万博》「"カスハラ"で土下座」事案に運営が学ぶべきこと

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いまや、カスハラに限らず、あらゆるハラスメントに対して、世間は敏感になっている。万博はその名の通り、各国から出展者も来場者もやってくる。そんな日本をアピールするための場で、もしハラスメント意識の欠如が露呈すれば、いったいどんな印象を与えるのか。

また大阪・関西万博では、SDGs(持続可能な開発目標)を全面に掲げているが、8「働きがいも経済成長も」、16「平和と公正をすべての人に」あたりとの整合性も問われかねない。

EXPO for SDGs
(EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイトより)

今回の件は、万博協会としては、とばっちりであろう。しかし、警備員に対する場内周知やマニュアルの徹底不足から、「万博たたき」に利用される可能性は多々ある。そう考えると、運営側のツメの甘さは否定できない。

万博への後ろ向きな声を増幅したSNS

そもそも大阪・関西万博には、当初から逆風が吹いていた。主催サイドは、2020東京オリンピック・パラリンピックとともに、戦後から復興した「高度経済成長期の活気をふたたび」と期待を込めたと考えられる。

しかし両者が前回開催された50年以上前と、今はまったく事情が異なる。「今の日本が誘致して、どれだけの意味があるのか」「そんな資金があるなら、社会福祉に回してくれ」といった後ろ向きな声は、開催決定から数年来、ずっと言われ続けていた。

それを増幅したのがSNSだ。いつしか「オリパラ・万博は、公然とたたいていい」というムードが形成されていた。加えて、国家予算がつぎ込まれていることから、「関わっている人物は、すべて“公僕”だ」「税金を払っている我々は、主張する権利がある」といった風潮も生まれているように感じられる。

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